インド太平洋の安保同盟、QUADとAUKUSから取り残される韓国
さらにF35のアジアの整備拠点は韓国が戦犯企業に挙げている三菱だ。一定の飛行時間ごとに行われるメンテナンスやオーバーホールと修理など、国際整備拠点「MRO&U」で行う決まりで、自衛隊と在日米軍や在韓米軍等のF35は愛知県にある三菱重工業のF35最終組立施設「FACO」で行われる。
韓国軍が指定可能な「MRO&U」は愛知県の「FACO」とオースラリアのウィリアムズタウン、米国のフォートワースで、直行可能な「MRO&U」は三菱しかない。韓国からウィリアムズタウンへは韓国の清州空軍基地から米国のグアム空軍基地やオーストラリアのタウンズビル空軍基地を経由するなど片道だけで最低3日はかかる。フォートワースへの自力飛行は不可能だ。
「クアッド」と「オーカス」から取り残される韓国
10月13日、李秀赫(イ・スヒョク)駐米韓国大使は国政監査で、「クアッド(QUAD:日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国による外交・安全保障の協力体制)」参加に関する野党の質問に「当分の間は参加国を増やす考えがないことを米国側と確認した」と答弁した。
クアッドは安倍晋三元首相が提案し、トランプ前大統領が共感して発足した安保協議体で、米国、日本、オーストラリア、インドの4カ国が参加する中国包囲網だ。トランプ政権は韓国やシンガポールなどを加えた「クアッド・プラス」構想を掲げたが、「軍事は米国、経済は中国」という二股外交を掲げていた文在寅政権が参加を拒絶した。
コロナ禍の長期化で、中国との蜜月関係の構築が厳しくなった文在寅政権は、招待されたら検討する方針に転化したが、バイデン政権が韓国を招待することはなく、米国が韓国をクアッドに参加させる意思がないことを明確に示したことになる。
英国は9月15日、米国、オーストラリアと3カ国同盟「オーカス(AUKUS)」を結成すると発表した。クアッド参加国の中で中国から距離があるオーストラリアの軍事力が強化され、また将来的にオーカスとクアッドが連携するとみられており、英国がアジアの安保に関与できるようになる。
クアッド参加国のオーストラリアとインドは英連邦の一員で、トランプ政権がクアッド・プラス構想で言及したシンガポールは英国の軍事同盟に属しており、台湾は米国製ミサイルを整備する計画だ。
計画性と運用に不安がある韓国は、日本が提唱し英米が主軸となって自由経済諸国が構築するインド太平洋の安全保障ネットワークから取り残されることになる。