豪中銀、政策金利を4.1%に据え置き 米関税の影響懸念

オーストラリア準備銀行(中央銀行)は1日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を4.1%に据え置くと発表した。据え置きは予想通り。写真は中銀の建物。シドニー中心部で2017年2月撮影(2025年 ロイター/Steven Saphore)
Stella Qiu Wayne Cole
[シドニー 1日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行)は1日、政策金利のオフィシャルキャッシュレート(OCR)を予想通り4.1%に据え置いた。しかし声明ではややハト派的な姿勢を示し、追加緩和に向けた一歩を踏み出した。
今回の会合では世界的な貿易戦争のリスクが主な焦点となった。声明は、「国際情勢がオーストラリアの経済活動とインフレに重大な影響を与える場合、金融政策が対応する態勢を整えている」とした。米国の関税措置が世界経済の足かせになると予想される中、豪中銀の政策は国際情勢に対応できる適切な状況にあるとの認識を示した。
約4年ぶりの利下げを決定した前回会合の声明にあった「追加利下げに慎重」との文言を削除し、米関税政策が世界の成長を抑制する可能性があるとの認識を示した。インフレ上昇リスクが依然として存在するという一文も削除された。
中銀のブロック総裁は会合後の記者会見で、今回は利下げは議論されなかったと述べた。声明がややハト派的になったものの、それが直ちに5月の緩和につながるわけではないと指摘した。
「労働市場は依然として逼迫しており、現時点では労働市場とインフレに関するさらなるデータや情報をもう少し待って、確証を得るのが賢明だと考えている」と説明した。
豪ドル/米ドルは0.3%上昇して1豪ドル=0.6262米ドルとなった。豪3年債先物は96.31で横ばい。スワップ市場は次回5月会合での利下げの確率を60%織り込んでいる。
最近の経済指標はおおむね予想通りないし予想を下回っている。2月の消費者物価指数(CPI)前年比上昇率は市場の横ばい予想に対し減速した。
キャピタル・エコノミクスのアジア太平洋地域責任者マルセル・ティエリアント氏は「今月発表される第1・四半期のCPIが上振れない限り、5月会合で0.25%ポイント追加利下げする可能性が高い」と述べた。豪中銀は今回の緩和サイクルであと0.5%の利下げを想定しているが、消費の低迷でリスクは「追加緩和に傾いている」と指摘した。
ANZの豪経済部門責任者アダム・ボイトン氏は「今回の声明は、今後の金融政策の動向に関して、理事会に一定の選択肢を与えるものだと解釈できる」と述べた。
8月にあと1回の利下げを予想しているとしながらも、「市場が不安定化したり世界政策の不確実性が高まったりした場合、中銀はそれよりも早く追加の金融緩和に踏み切る可能性がある」との見方を示した。
1日発表された2月の小売売上高は前月比0.2%増加。消費の回復がなお緩やかで、消費者が依然慎重姿勢を取っていることを示唆した。
豪では5月3日に総選挙が実施される。物価高が影響しアルバニージー政権は厳しい選挙戦を強いられそうだ。
デロイト・アクセス・エコノミクスのプラディープ・フィリップ氏は「理事会は、選挙前に利下げしたという印象を避けるとともに、選挙に向けた公約がインフレ見通しにどのような影響を与えるか検討する余地を確保したいと考えている」と指摘した。
<世界的な不確実性を意識>
豪経済は最悪の状態を脱し、大々的な減税措置により消費が持ち直した。しかしトランプ米政権の関税政策によって世界貿易戦争のリスクが生じ見通しは悪化した。
声明は、「地政学的不確実性も顕著」とし、米国の関税がグローバルな信頼感に影響を与えていると指摘した。
米連邦準備理事会(FRB)は、米政権の政策がインフレを再燃させる恐れがあるとして追加利下げに慎重になっているが、投資家の間では米経済のリセッション(景気後退)入りが懸念されている。
声明は、海外経済の先行き不透明感、米関税政策、地政学的な不確実性を指摘し、「これらの動向は、特に見通しが明らかになるまで家計や企業が支出を遅らせた場合、世界経済に悪影響を及ぼすと予想される」と述べた。国際貿易への依存度が高いオーストラリアは脆弱との見解を示した。
ブロック氏は多くが米国の関税に対する中国の対応に左右されるとの見方を示した。
他の中銀、特に小規模で開放的な経済圏の中銀と協議し、現状や今後1年間の見通しについて検討していると述べた。
「国際情勢の不確実性が高まっている。それがわれわれに何を意味するのかは完全には明らかではない。われわれは慎重に対応し、状況を注視するつもりだ」と語った。
中銀は海外情勢が物価に及ぼす影響は明確ではないとし、「インフレはどちらの方向にも動く可能性がある」と予想した。
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