インド太平洋の安保同盟、QUADとAUKUSから取り残される韓国
韓国初の国産戦闘機「FA50」に搭乗する文在寅大統領 Yonhap via REUTERS
<韓国は、英米日豪が主軸となって自由経済諸国が構築するインド太平洋の安全保障ネットワークから取り残されることになる>
2021年10月19日午前10時過ぎ、北朝鮮が今年に入って7回目のミサイルを発射した。米ワシントンで現地時間の同日午前から日米韓3カ国の北朝鮮問題担当高官による協議が予定され、ソウルでは同日午後から日米韓の情報組織代表の会談が予定されていた。
また、19日から23日までソウル近郊の京畿道城南市にあるソウル空港(軍用空港)で「ソウル国際航空宇宙・防衛産業展示会(ソウルADEX2021)」が開催されるなど、北朝鮮を取り巻く行事が重なっており、これらを牽制する狙いがあったと見られている。
韓国軍が配備するステルス戦闘機F35をめぐる問題
文在寅大統領は、10月20日、水原空軍基地から韓国初の国産戦闘機「FA50」に搭乗し、京畿道・天安やソウルの上空を飛行した後、ソウル空港に着陸してADEX2021の開会式に出席した。国産戦闘機の優秀性と安全性を内外にアピールしたが、韓国軍の問題が明らかになっている。
10月13日付の朝鮮日報によると韓国陸軍が1999年から2000年に導入した12機のドイツ製BO105偵察ヘリの標的捕捉探知装置(TADS)が故障して修理もできない状態にあるという。
韓国陸軍が導入したBO105はTADSを使って夜間にも標的を捕捉できる仕様だが、故障のために夜間の偵察は難しく、昼間に肉眼でのみ偵察が可能で、同紙は韓国軍が1200億ウォン(約114億円)の血税を無駄にしたと報道した。
同紙はステルス戦闘機F35Aの問題点も指摘した。韓国防衛事業庁は2015年、米国とF35A戦闘機の25ミリ機関砲弾薬の購入契約を結んだが、米軍が韓国軍の実弾使用を認証していなかったため訓練弾を契約した。2018年に認証されたが、実弾は供給されていないという。
韓国軍は、2019年3月から順次、F35Aを配備してきたが、訓練弾5万5100発が配備されたのは20年5月だった。同紙は実弾どころか訓練弾も使われたことはないと伝えている。
韓国軍は当初、60機のF35Aを配備する計画だった。しかし、日本政府が護衛艦「いずも」と「かが」をF35Bが発着できる軽空母に改修する計画を発表した直後の19年8月、韓国政府が軽空母の開発に着手すると発表し、20年8月、F35Aの20機を垂直離着陸型のF35Bに変更すると発表した。
ロッキード・マーチン社が公表しているF35Aの航続距離は2200キロメートル以上で、韓国内のすべての空軍基地から北朝鮮全域をカバーする。一方、F35Bは航続距離が短く、また、搭載できる兵器も少ないことから有事の際の運用に限界がある。