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中国停電の真相──背景にコロナ禍を脱した中国製造業への注文殺到も

2021年10月4日(月)13時30分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)

そのため世界各国からの製造業に対する需要が中国に殺到し、中国の国家エネルギー局データによれば、2021年1-8月期の電力消費は昨年同期比の13.8%増となっている

非常に読み取りにくいかもしれないが、中華人民共和国海関(税関)総署の「輸出入商品総額表(人民元建て) B:月度表」によると、2021年1-8月の輸出額は昨年同期比23.2%増となっている。ドル建てに換算すれば25.6%増だ。

この「23.2」という値は、表の欄外にある「注」の「一」を読み取らないと判読できないが、煩雑なので結果だけを言うと、「右から3列目の最後の行」にある「23.2」という数値が、それに相当する。

また「2021年8月輸出入商品構成表(人民元建て)」では「2021年1-8月の工業製品の輸出」は昨年同期比23.8%増となっている。ドル建てだと34.5%増だ。

どういう品目に関して注文が殺到しているかを示すために、輸出増加率の高い上位15品目を拾い上げて以下に示してみよう。

図表1:2021年1-8月の輸出同期比増加率が高い上位15品目

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出典:中華人民共和国海関(税関)総署のデータから筆者が抽出して作成

前年度同期比が130%増というのから約40%増に至るまで、全世界からの注文がどれだけ凄まじい勢いで殺到しているかが数値でお分かりいただけるだろう。こんなに「景気のいい話」は世界を探しても、そう多くはない。

世界各国からの注文を断って電気使用量を減らそうなどという戦略は考えられず、少しでも経済成長を向上させようと思うのが常識だろう。

かくして製造業を保障するために大量の電気が使用され、電気量不足に陥った。

中国の停電発生を「さあ、今度こそ中国経済は崩壊するぞ!」と勇んでいるチャイナ・ウォッチャーや報道機関は、中国経済構造の深層を知らなければならない。

エネルギー効率を高めるための中国政府による通知

9月11日、国家発展改革委員会は「エネルギー消費強度と総量の双方を改善し制御する制度に関する法案」を発表した。中国語では制御あるいはコントロールを「控制」と書くので、この通知を「双控制度」と略記する。

これはエネルギー効率の低い(エネルギー消費が高いが利益率が低い)製造業を制限することによって、電気量供給の安定化を図ろうとするものである。

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