最新記事

日本企業

逃亡中のゴーンが本誌独占取材に実名で語った陰謀の「黒幕」

2021年10月2日(土)19時30分
アイリーン・ファルケンバーグハル (自動車業界担当)
カルロス・ゴーン元日産会長

自分の失脚は日産の「オールド・ボーイズ」たちによる陰謀だと主張 Mohamed Azakir

<自らの失脚は、一部の日産幹部が画策して日本の検察と共謀した「でっち上げ」だと主張>

自分を裏切った人間に仕返しするためではなく、自らの汚名をそそぐために、本当のことを話したいと、日産自動車のカルロス・ゴーン元会長は私たちに語った。

自分の失脚は、役員報酬の開示をめぐる不正とされるものとは全く関係がないと、新著『壊れた連合』のプロモーションのために先頃レバノンの自宅で本誌のインタビューに答えたゴーンは主張した。日本側が経営の実権をフランスに譲り渡すことを恐れたのが真相だという。

ゴーンは新著で、ビジネス界での特筆すべき成功、その輝かしいキャリアに終止符を打った「陰謀」、そして2018年11月19日の逮捕について語っている。

この著書でゴーンは初めて、自らの追放を画策したと考えている日産幹部の実名を挙げた。まず、内部監査室本部長を務めていたクリスティーナ・ムレイは、社内でゴーンのスキャンダルを探っていたと、同書は記している。

画策したのは日産の幹部たち

チーフ・パフォーマンス・オフィサー(CPO)の職にあったホセ・ムニョス(現在は現代自動車のグローバル最高執行責任者)も、追放計画に共謀したという。また、日産のベテラン幹部だった川口均(現在は副社長を退任)も関与したとしている。

こうした幹部たちが日本政府と一緒になって、逮捕の理由をでっち上げたと、ゴーンは語った。「この謀略は、いわば日産のオールド・ボーイズが画策したものだと思う。日産で長年働いていて......(ルノーと資本提携を結ぶ以前の時代に)郷愁を抱いている人たちのことだ」

転機になったのは18年6月にルノーと日産と三菱自動車の3社連合の全体を監督するようになったときだったと、ゴーンは振り返る。「(オールド・ボーイズたちは)自分たちの自治が奪われることを恐れた......そこで、日本政府の一部の支援を得て検察と共謀した。まさかそんなことが起きるとは、想像もしていなかった」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正

ワールド

イスラエル政府、ガザ停戦合意を正式承認 19日発効

ビジネス

米国株式市場=反発、トランプ氏就任控え 半導体株が

ワールド

ロシア・イラン大統領、戦略条約締結 20年協定で防
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 5
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 6
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 7
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 8
    「ウクライナに残りたい...」捕虜となった北朝鮮兵が…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    雪の中、服を脱ぎ捨て、丸見えに...ブラジルの歌姫、…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 5
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 7
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中