コロナ後の世界を襲うエネルギー不足──価格急騰が家計を直撃
U.S. Heating Bills Could Rise as Much as 30 Percent Amid Increased Demand for Natural Gas
アメリカでは9月に入り、コロナ経済対策の失業保険上乗せ措置が終了。この影響で、冬には暖房費の支援が必要になる低所得世帯が増える可能性が高いとみられている。「そうした世帯は、燃料代の支払いだけでなく、あらゆるものの支払いがこれまで以上に苦しくなるだろう」とウルフは指摘する。
米国内の天然ガス生産業者は、国内外向けの販売価格高騰の恩恵を受けることができるかもしれないが、ヨーロッパやアジアへの輸出可能量には限界がある。メキシコ湾岸沿いにあるLNG輸出施設はいずれもフル稼働で、これ以上取扱量を増やすことはできない状態だ。
一部の企業は、これらの輸出施設を拡大するか、新たな施設を建設したい考えだ。しかし過去数年間、天然ガス価格があまりに低水準で推移していたため、これらの企業は長期契約を望む買い手を十分に見つけることができないできた。それでも、今では多くの買い手が燃料調達に奔走していることを考えれば、状況が変わる可能性はある。
「今のように価格変動が激しい市場で天然ガスやLNGを調達するリスクを抱えるよりも、一定の価格で長期契約を結ぶ方がいいと考えて、今後多くの買い手が戦略の見直しを行う可能性がある」とディアズは指摘する。
より長期の契約を獲得できれば、各輸出施設の拡大・建設プロジェクトに必要な投資を確保することも可能になるかもしれない。
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