アフガン自爆テロ、ISからシーア派を守りたいイランからの警告
Iran Warns Against 'Divisive Schemes' in Afghanistan as ISIS Wages War Across Ethnic Lines
イラン当局者はまた、この混乱をきっかけにアフガニスタン人が、聖地の防衛を強化することを求めた。
「数々の悲劇的な出来事によって、治安の強化と、シーア派およびスンニ派の礼拝所やその他の集会の保護を強化する必要性が出てきた」と、イラン外務省は付け加えた。
「イラン・イスラム共和国は、アフガニスタンのイスラム教徒が連帯、共同思考、協力を通じて、分裂をねらう敵の計画を失敗に導くことを確信している」
アフガニスタン、イラン、パキスタンの政府は長年に渡って様々な反政府勢力と戦ってきた。その多くは、宗派の境界を越えて動員されている。
非国家組織や過激派組織の研究者で、国際的過激派の活動を分析するニュースサイト「ミリタント・ワイアー」の編集者であるルーカス・ウェバーは、ISが最新の2回の攻撃で犯行声明を出したのは、偶然ではない可能性が高いと述べた」
多様な民族をテロに動員
「ISは、さまざまな民族出身のメンバーがこうした攻撃の実行を担っていることを故意に見せつけているように思える」とウエバーは本誌に述べた。「ISの組織とイデオロギーが民族の壁を少なくともある程度は超えられることを、部分的にでも示すためだ」
タリバンやアルカイダとISとではそもそもの成り立ちが違う。タリバンとアルカイダは、1980年代のソ連によるアフガニスタン侵攻に対するムジャヒディン(イスラム戦士)の抵抗運動から生まれた(ちなみにムジャヒディンたちはアメリカやパキスタンから支援を受けていた)。
だがISは、アメリカのイラク侵攻によるフセイン政権崩壊後の2003年、イラク国内のアルカイダ系組織から派生した。それから2年後、アメリカはアルカイダをかくまったタリバン政権を打倒するため、アフガニスタンに侵攻した。
米軍のアフガニスタン駐留は約20年に及んだが、昨年2月にトランプ政権がタリバンと結んだ和平合意に基づき、今年8月末に撤退を完了した。アフガニスタン政府軍は全土であっという間に瓦解し、タリバンのカブール制圧に道を開いた。タリバンは9月、「アフガニスタン・イスラム首長国」の復活を宣言した。