中国、デルタ株再燃で3歳の子どもにもワクチン義務化──有効性は不明
China Mandates COVID Vaccinations for Children as Young as 3
アルゼンチンでも3歳以上の子どもを対象にワクチン接種を行っているが CGTN America-YouTube
<北京五輪を前に、感染力の強いデルタ株の市中感染があちこちで顔を出し始めた中国。有効性がはっきりしない国産ワクチンで、感染抑え込みは成功するのか>
中国の複数の地方自治体が10月25日、3歳から11歳の子どもにも新型コロナウイルスワクチンの接種を義務づける通達を出した。
中国の一部の地域では、新型コロナの小規模なアウトブレイク(爆発的拡大)を根絶するためロックダウンや隔離、強制的な検査などを継続しているが、さらに新たな措置として導入されたのが、子どもに対するワクチン接種の義務化だ。幼い子どもを対象にワクチン接種を実施している国は少なく、中国以外ではキューバが9月から、2歳以上の子どもを対象にワクチン接種を開始しているくらいだ。
ワクチン接種の義務化を徹底し、またアウトブレイクを一切容認しない方針を掲げている中国では、人口14億人のうち、76%に相当する10億700万人がワクチン接種を完了している。
アメリカをはじめとする他の多くの国では、中国やキューバのような幼い子どもを対象としたワクチン接種は始めていないが、12歳以上の子どもへのワクチン接種は認めている。またアメリカでは、近いうちに5歳から11歳の子どもを対象としたワクチン接種を開始する計画だ。
以下にAP通信の報道を引用する。
デルタ株への効き目は証拠がない
中国の国家衛生健康委員会は25日、直近の24時間で新型コロナの市中感染が35例報告されたと発表した。このうち4例が甘粛省、19例が内モンゴル自治区での感染例で、ほかにも国内の複数の地域で市中感染が確認された。17日から23日までの1週間では11省・直轄市・自治区で133人の感染が確認されている。
政府は特に、国内旅行によって感染力の強いデルタ株が拡散されることを懸念しており、2022年2月の北京五輪開催に向けて、国民のワクチン接種を進めたい考えだ。北京五輪は、既に海外からの観客を受け入れないことが決定されており、参加者については、外部との接触を遮断する「バブル方式」が採用される。
中国で最も広く使用されている新型コロナワクチンは、中国医薬集団(シノファーム)と科興控股生物科学(シノバック・バイオテック)のワクチンで、公開済みのデータによれば、感染予防と重症化予防への有効性が確認されている。さらに当局者たちはこれらのワクチンはデルタ株に対しても有効だとしているが、どの程度の有効性があるのかに関する確たるデータはない。
湖北省、福建省と海南省はいずれも、新たに省レベルでワクチン接種を義務づける通達を出している。浙江省と湖南省の複数の都市も、同様の措置を発表している。