最新記事

中国、デルタ株再燃で3歳の子どもにもワクチン義務化──有効性は不明

China Mandates COVID Vaccinations for Children as Young as 3

2021年10月26日(火)15時38分
アリス・メスマー

中国では6月、2種類のワクチン――シノファームの北京生物研究所が開発したものとシノバックが開発したもの――について3歳から17歳までの子どもへの使用が認められたが、これまでは12歳以上の子どものみを対象にワクチン接種が実施されてきた。8月には、シノファームの武漢生物研究所が開発したワクチンについても、同様に緊急使用が認められた。

その後、ほかの複数の国でも、政府が子どもを対象としたワクチン接種承認が始まった。カンボジアは、6歳から11歳の子どもを対象にシノバック製ワクチンの接種を実施。チリの当局も、6歳以上の子どもにシノバック製ワクチンを使用することを承認した。アルゼンチンでは、3歳以上の子どもにシノファーム製ワクチンの接種を行うことが認められた。

これらの途上国は、ファイザーやモデルナのような欧米の製薬会社が開発した新型コロナワクチンの調達競争に参加できず、中国製ワクチンを購入している。中国外務省によれば、9月時点で中国が海外に提供したワクチンは、累計で12億回分を超えている。

このように国内外で広く使用されている中国製ワクチンだが、一部の保護者は、あまり表に出ていないデータを引き合いに出して、ワクチンに対する不安を口にしている。

「できれば受けさせたくない」と保護者

福建省福州市に暮らすWang Luは、3歳の息子には、特に急いでワクチン接種を受けさせるつもりはないと語った。「ワクチンの安全性について確証が持てないから、本当なら息子にはワクチン接種を受けさせたくない。少なくとも、息子が一人目になるのは嫌だ」と述べた。

シノバックは9月から複数の国で、1万4000人の子どもを対象に治験を開始した。中国での承認は、より小規模な第1相と第2相の治験結果に基づくものだ。シノファームの北京生物研究所が開発したワクチンも、より小規模な第1相と第2相の治験結果を基に承認されている。

ほかの保護者たちは、多くの人が既にこれらのワクチンの接種を受けているため、心配はしていないと語っている。

7歳の娘の母親であるWu Congは、娘が通う上海の学校からは、まだワクチン接種に関する連絡は何もないと語った。

「新型コロナワクチンも、インフルエンザワクチンとたいして変わらないと思う。既に大勢の人が接種を済ませているから、あまり心配はしていない」と彼女は述べた。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

タイとカンボジアが停戦に合意=カンボジア国防省

ビジネス

NY外為市場=円が軟化、介入警戒続く

ビジネス

米国株式市場=横ばい、AI・貴金属関連が高い

ワールド

米航空会社、北東部の暴風雪警報で1000便超欠航
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 8
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 9
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 10
    赤ちゃんの「足の動き」に違和感を覚えた母親、動画…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中