タリバンに追われる女性検察官が調べていたこと
Taliban Used Children to Plant Bombs, Now Hunts Prosecutor Who Investigated
正義のために働いていた「ミナ」は一転、追われる身に(写真はイメージです) RollingEarth-iStock.
<タリバンが全権を掌握して「賞金首」になった彼女は、タリバンが子供たちに爆弾を仕掛けさせていたことを告発しようとしていた>
イスラム原理主義組織タリバンが、アフガニスタン人のある女性検察官の行方を追っている。タリバンによる児童虐待の問題を調査してきたこの検察官は、タリバンに処刑されるのを恐れて身を潜めている。
この女性検察官──仮に「ミナ」と呼ぶ──が本誌に明かしたところによれば、アフガニスタン中部のワルダク州の彼女の自宅に、タリバンの軍事委員会から脅迫めいた最後通告の手紙が届いたという。彼女はその後、自宅を逃れて別の場所に避難している。
ミナの自宅宛てに送られてきたその手紙には、「お前はイスラム首長国のムジャヒディン(イスラム戦士)から、異端者の支援およびほう助の罪に問われている」と書かれていた。「仕事を辞めて、イスラム首長国のムジャヒディンに支援と協力を提供するよう命じる」
手紙はさらにこう続く。「アラーを満足させる行いをすれば、あなたに害が及ぶことはない」
しかしミナは「彼らに見つかれば100%殺されるだろう」と言う。9月13日にはパンジシール州で、かつての同僚がタリバンの戦闘員らに処刑されたと語った。この件については、本誌独自の調査では確認が取れなかった。
法律の専門家は「恩赦の対象外」
ミナによれば、タリバン幹部は現在、彼女の居場所に関する情報に50万パキスタンルピー(約3000ドル)の報奨金を提示している。アフガニスタン人の平均世帯年収約4000ドルに近い金額だ。
アフガニスタンの実権を握ったタリバンは、社会のあらゆる側面に対する支配を確立するために、禁欲的なゲリラ組織から、機能する政府へと転身を遂げようとしている。その彼らにとって、ミナが進めてきた調査はきわめて都合が悪い。
「彼らは子どもたちを使って、道路や車に爆弾を仕掛けるのを手伝わせた」とミナは本誌に語った。「その子どもたちの多くが命を落とした」
彼女がとりわけ危うい立場にあるのは、ハザーラ族の出身だからだ。ハザーラ族はアフガニスタンの人口の10~20%を構成する少数派民族。1990年代のタリバン政権下では弾圧され、タリバンによる虐殺も複数回なされた。
「タリバンは女性が働くことを認めないだろう」とミナは言う。タリバンは前政府関係者に対する恩赦を発表したが、法律の専門家や一部の警察官は恩赦の対象外だとも言っている。
タリバンは8月にアフガニスタン全土と首都カブールを掌握して以降、かつてのタリバン政権との違いをアピールするために、穏健な姿勢を示そうとしている。