最新記事

アフガニスタン

タリバンに追われる女性検察官が調べていたこと

Taliban Used Children to Plant Bombs, Now Hunts Prosecutor Who Investigated

2021年9月17日(金)20時57分
デービッド・ブレナン

しかしタリバンの報道官が報復目的の殺害は行わないと述べ、女性の安全を保障すると約束する一方で、タリバンの戦闘員たちは前政府の下で働いていた者たちを攻撃したり、若い女性を誘拐して戦闘員と結婚させたりしている。

タリバンの厳格な解釈に基づくシャリーア(イスラム法)を順守するよう女性たちに強制し、学校や大学では男女の隔離を進めている。

タリバンによる厳格な統治の復活に抵抗している女性たちもおり、アフガニスタン各地で、過去20年に女性がようやく手にした自由を守るための抗議デモが展開されている。

タリバンの戦闘員たちが複数の抗議デモの現場で、デモ隊に暴力を振るったり発砲したりしたことが確認されている。一部報道によれば、ヘラート州ではデモ参加者が仕事を奪われ、カンダハル州では銀行の窓口係として働いていた複数の女性が、銀行を立ち去るよう命じられた。

20年の進歩が帳消しになるおそれ

タリバンはまた、多くの働く女性に対して、「安全保障上の理由」から自宅にとどまるよう求めている。アフガニスタンの女性たちや複数の人権擁護団体は、アフガニスタンで抑圧されてきた女性たちが過去20年で達成してきた進歩──都市部に集中した限定的なものだが──を、タリバンが帳消しにしようとしていることが伺えると警告している。

「アフガニスタンは私の国だ」とミナは本誌に語った。「ここが大好きだが、私にとってはとても危険な状況だ。アフガニスタンを脱出しようと試みているが、その方法がなくて身動きが取れない」

20240423issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2024年4月23日号(4月16日発売)は「老人極貧社会 韓国」特集。老人貧困率は先進国最悪。過酷バイトに食料配給……繫栄から取り残され困窮する高齢者は日本の未来の姿

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルへの報復ないと示唆 戦火の拡大回

ワールド

「イスラエルとの関連証明されず」とイラン外相、19

ワールド

米石油・ガス掘削リグ稼働数、5週間ぶりに増加=ベー

ビジネス

日銀の利上げ、慎重に進めるべき=IMF日本担当
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 4

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32…

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 8

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    ネット時代の子供の間で広がっている「ポップコーン…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中