【9.11】20年目の「新事実」テロ実行犯の2人は愛し合っていた
DYING TOGETHER
2001年9月11日、ユナイテッド航空175便は世界貿易センターのツインタワー南棟に真っすぐ突っ込んだ CNN/GETTY IMAGES
<本誌の取材で明らかになった衝撃の事実。あの日、ホワイトハウスはなぜ助かったのか。実は、標的のツインタワーは1棟だけだった。両棟に激突した2機を操縦するテロリスト2人は「一緒に死にたかったのだ」――>
アメリカ本土で同時多発テロが起きた2001年9月11日から20年。あの日の出来事については緻密な捜査が積み上げられてきたが、まだ分からないことが多い。
そもそも旅客機4機をハイジャックした男たちの素顔が見えない。彼らが分担した役割は分かっている。だが、テロリストである前にどんな人間だったのかは知られていない。
ある意味、それはタブーだった。
テロリストにも人間の顔があったと信じ、動機を理解しようとすれば、どこかで彼らの行為を正当化し、許すことにつながりかねないからだ。
しかし彼らの生きざまに光を当てると、あの日に関する重大な謎の答えが見えてきた。
実を言うと、国際テロ組織アルカイダがあの日、世界貿易センター(WTC)のツインタワーに突っ込ませようと計画していたのは1機だけだった。
しかし現実には2機が、北棟と南棟に連続して突っ込んだ。結果、南棟も北棟も倒壊した。その代わりホワイトハウスは救われた。
彼らは何を考えていたのか。私はずっとそれが知りたかった。そして取材の過程で、CIAによる尋問の書き起こし原稿と被疑者たちに関する報告書を入手できた。
そこには実行計画の立案者とされ、今なおキューバにあるグアンタナモ米軍基地に収容されているハリド・シェイク・モハメドの供述もあった。
モハメドの供述書そのものを見た人はごくわずかだ。機密事項が含まれているし、拷問その他の問題もあるので、ずっと封印されてきた。
モハメドの供述は、米国内における多数のテロ計画を未然に防ぎ、危険人物を特定するのに役立った。
だが9.11テロ実行犯の人物像を解明する目的では吟味されていなかった。
本来の標的は4つだった
モハメドが繰り返し述べたところによれば、アルカイダはアメリカの軍事と政治、そして金融のシンボルを標的としていた。具体的には国防総省とホワイトハウス、そして商都ニューヨークを象徴する世界貿易センターだ。
だが首領のウサマ・ビンラディンは連邦議会議事堂も標的に加えた。議会こそ宿敵イスラエルの仲間と思えたからだ。
モハメドの供述調書に、ツインタワーの両棟に2機を激突させる計画だったとの記述はない。むしろ彼は、2機の激突に驚いたと語っている。
それだけではない。
実行犯のリーダー格でアメリカン航空11便をツインタワー北棟に激突させたモハメド・アタと、ユナイテッド航空175便の操縦桿を握って南棟に突っ込んだマルワン・アルシェヒは一緒に死にたかったのだ、とも語っている。