国外脱出のチャーター機をタリバンが足止め?──「事実上の人質状態」と米議員
Taliban Hold Planes Full of Evacuees as Congressman Talks of 'Hostages'
米軍撤退後のカブール国際空港(8月31日) REUTERS
<アメリカにタリバン政権を承認させるための人質、との見方もあるが、米国務省にも有効な手段なし>
アフガニスタンの実権を掌握したイスラム主義組織タリバンはここ数日、国外脱出を希望する人々を乗せた飛行機の離陸に待ったをかけているらしい。この状況について米政界では「人質を取られている」ようなものだとの声も上がっている。
AP通信は5日、北部マザリシャリフの空港で、少なくとも4機の航空機がはっきりしない理由で足止めされていると伝えた。アフガニスタンの当局者は、数百人の乗客は全てアフガニスタン人で、ビザがなかったりパスポートを持っていない人が多く含まれると述べたという。
だが米下院のマイケル・マコール議員(共和党)は5日、FOXニュースの番組に出演、足止めされている中には複数のアメリカ人が含まれていると主張した。
「実際のところ、人質を取られたような状況になりつつある。アメリカが(タリバン政権を)完全に承認するまで、アメリカ国民の出国を認めないというわけだ」と、下院外交委員会の共和党トップであるマコールは述べた。
マコールはまた、米軍のアフガニスタンからの完全撤退により数百人のアメリカ国民が「敵陣に取り残された」と述べるとともに、撤退を推し進めたジョー・バイデン大統領について「彼の手は血まみれだ」と非難した。
国務省もチャーター便の詳細つかめず
米国務省の報道官は本誌の取材に対し、チャーター機で国外脱出を図っているアメリカ人がいるのかどうかについては分かっていないと述べた。
「チャーター機などの出国経路を手配しようとしている多くの人々の懸念はわれわれも理解している。だが、現地にわれわれの要員はおらず、空輸のための施設等も押さえておらず、アフガニスタンであれ周辺地域であれ、空域も支配していない」と報道官は語った。
「こうした制約下で、われわれにはチャーター機に関し、手配をしたのが誰で、アメリカ人やそれ以外の優先的に避難が認められる人々が何人くらい乗っているのか、それ以外の乗客リストの正確性、どこに着陸する予定なのかといった、基本的な細かい情報を確認するための信頼に足る手段もない」と報道官は述べた。
国務省は、現地にいまも残るアメリカ人やアフガニスタンからの避難民を「助ける用意はある」としている。また、タリバンが急速にアフガニスタンにおける実権を取り戻して以降、数多くの人々を避難させたと強調した。