ロシア、「ドラゴンをなだめる」対アフガニスタン戦略
CALMING THE DRAGON
だが、アメリカがアフガニスタンから全面的に撤退したからといって、ロシアに勝利を与えるとは限らないと、米政府は考えている。
ジョー・バイデン米大統領も16日のスピーチで次のように語った。「アメリカがアフガニスタンの安定化に莫大な資源を永遠につぎ込み続ければ、われわれの真の戦略的ライバルである中国とロシアは大喜びだろう」
もちろんロシア国内には、アメリカの大慌てのアフガニスタン撤退劇を、愉快そうに見物する向きがあるのは事実だ。ロシアの国営メディアは、アメリカではバイデンの対応は「失敗、大混乱、破滅的」と報じられていると伝えた。
アフガニスタンに関するロシアの最大の懸念は、テロと麻薬密売の拡大、そして中央アジア諸国の不安定化だ。
だが、こうした懸念がいかに深刻化しても、ロシアがアフガニスタンに再び派兵することはないだろう。「ロシアにそんな財政的余裕はない」と、カザン連邦大学のアザト・アフノフ准教授は指摘する。
現在のロシアの対アフガニスタン戦略は、「ドラゴンをなだめる」ようなものだと、アフノフは言う。その上で、国内の安定を維持する能力があることをタリバンが証明すれば、ロシアは石油やガスを供給したり、消費財の物流を支援するなど、タリバン政権と幅広い経済協力関係を構築する可能性があるという。
それに、近隣に反米同盟国があることは、いつだって都合がいい。
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