最新記事

アフガン情勢

アフガニスタン、タリバンが数週間内に政権枠組み 米独が退避巡り治安リスク警告

2021年8月23日(月)10時40分
アフガニスタンから退避してきた人たち

アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織の共同創設者バラダル師が21日帰国し、カブール入りした。タリバンは数週間以内に新たな政府の枠組みを打ち出す方針だという。一方、米国とドイツはこの日、アフガン国内の自国民に対し、治安上のリスクがあるとして、カブール空港に来ないよう勧告した。写真はアフガニスタンから退避してきた人たち。8月20日、ドイツのラムシュタイン空軍基地で撮影(2021年 U.S. Air Force/Senior Airman Jan K. Valle/Handout via REUTERS)

アフガニスタンを掌握したイスラム主義組織の共同創設者バラダル師が21日帰国し、カブール入りした。タリバンは数週間以内に新たな政府の枠組みを打ち出す方針だという。

タリバン関係者は匿名を条件に、バラダル師が部隊司令官、元政府指導者や政策立案者、宗教学者などと会談する予定だと明かした。また、タリバンが今後数週間のうちに新たな統治モデルを検討する計画で、治安や財政問題に対応するチームも設置されるとし、「危機管理には旧政府の専門家が参加する予定だ」と明かした。

新政府の体制は欧米型の民主主義ではないが、この関係者は「全ての人の権利を守る」と述べた。

タリバンは最高指導者ハイバトゥラ・アクンザダ師がこれまで公の場で沈黙を守っている。アフガンを掌握した現在、必ずしも利益が一致しない可能性がある組織内の各グループを団結させる必要がある。

一方、米国とドイツはこの日、アフガン国内の自国民に対し、治安上のリスクがあるとして、カブール空港に来ないよう勧告した。

米国をはじめとする各国が自国の外交官や民間人、多数のアフガン人を退避させようとしているが、多くの人が空港に殺到して活動の妨げになっている。

こうした勧告は、治安状態がなお不安定であることを示している。ある米政府関係者は、アルカイダやイスラム国などのイスラム過激派組織の脅威があるとして、米軍が空港への代替ルートを検討していると述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・タリバン大攻勢を生んだ3つの理由──9.11以来の大転換を迎えるアフガニスタン
・タリバンが米中の力関係を逆転させる
・<カブール陥落>米大使館の屋上からヘリで脱出する「サイゴン陥落」再び


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

海外勢の米国債保有、7月は過去最高 日本の保有高は

ワールド

加トルドー内閣、不信任案は否決の公算 ケベック連合

ワールド

ウクライナ大統領、対ロ戦争終結の「勝利計画」策定完

ワールド

北朝鮮、18日に新型弾道・巡航ミサイル試射 金氏指
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁断の韓国ドラマ」とは?
  • 2
    「ポケットの中の爆弾」が一斉に大量爆発、イスラエルのハイテク攻撃か
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    クローン病と潰瘍性大腸炎...手ごわい炎症性腸疾患に…
  • 5
    浮橋に集ったロシア兵「多数を一蹴」の瞬間...HIMARS…
  • 6
    「トランプ暗殺未遂」容疑者ラウスとクルックス、殺…
  • 7
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 8
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 9
    この「自爆ドローンでロシア軍撃破の瞬間」映像が「…
  • 10
    岸田政権「円高容認」の過ち...日本経済の成長率を高…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢な処刑」、少女が生き延びるのは極めて難しい
  • 4
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 5
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 6
    北朝鮮で10代少女が逮捕、見せしめに...視聴した「禁…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰…
  • 9
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将…
  • 10
    世界に離散、大富豪も多い...「ユダヤ」とは一体何な…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 4
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 5
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 6
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 7
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 8
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
  • 9
    止まらない爆発、巨大な煙...ウクライナの「すさまじ…
  • 10
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中