北京早くも東京五輪を利用し「送夏迎冬」――北京冬季五輪につなげ!
これはちょうど、8月5日のコラム<7000人もの医療関係者を五輪に確保し、「国民の重症者以外は自宅療養」の無責任>で書いたように、日本の自民党の河村建夫議員(元官房長官)が7月31日に「五輪がなかったら、国民の皆さんの不満はどんどんわれわれ政権が相手となる。厳しい選挙を戦わないといけなくなる」と語ったのと同じ構図だ。すなわち
日本:マスコミを総動員して日本選手の活躍に熱狂させ、国民の目をコロナ感染からそらし、選挙に有利な方向に持って行こう!
中国:東京五輪を開催させ、コロナに批難の目が行かないように仕向けて北京冬季五輪を成功させよう(=北京冬季五輪ボイコットを言わせないようにしよう)!
という同じ構図で動いていることがお分かりだろう。その意味で菅政権と習近平は「共犯者だ」と言っても過言ではない。
8月8日、中国の「全民健身(国民運動)の日」に習近平のメッセージ
皮肉なタイミングとも言えるが、8月8日はなんと、中国にとっての「全民健身(国民運動)の日」だ。これは2008年8月8日の北京五輪にちなんで、翌2009年に設けられた祝日で、習近平は2016年10月25日に《健康中国2030計画》なるものを発布して、中国人民が健康を保つためにスポーツによって体を鍛えるように呼び掛けている。
CCTVは習近平の「全民健身の日」に関する以前の指示を引用して、その流れの中で前述の「送夏迎冬」を報道した。中国時間で夜7時43分から56分までの間(日本時間8時43分から56分頃)だったので、中国のネットでは「意味が分からない閉会式の余興」から、関心は一気に北京冬季五輪に移っていった。
日本時間の夜10時には全世界のCCTVを観ている者のスマホに冒頭のメッセージが発信されたので、中国国内外の東京五輪への関心もまた、一気に北京冬季五輪へと切り替わっていった。
このスイッチの切り替えは、いかにも東京五輪は北京冬季五輪のための通過点であり、北京冬季五輪を成功に導く「道具」であったかのようなイメージを与えた。
日本でデルタ株が爆発するのを中国は見抜いていた
8月7日のコラム<中国デルタ株感染拡大は抑え込めるか?>に書いたように、中国は日本がデルタ株のパンデミックを抑えきれないだろうということを見抜いていた。
8月9日のCCTV国際ニュースの東京五輪に関する報道は、専ら「東京五輪開催と同時に日本ではデルタ株感染が爆発している」ということに重点を置いていた。
それに比べて「中国はコロナ感染をコントロールしている」と言いたいのだろうが、南京禄口空港を出発点としたデルタ株の新規感染者は8月7日に<中国デルタ株感染拡大は抑え込めるか?>を書いた時点とかなり違ってきている。