デルタ株が母親の復職阻む 新学期の授業再開不透明に
疾病対策センター(CDC)のデータでは、16-17歳のおよそ40%、12-15歳の28%がワクチンを接種済みだが、5-11歳が接種対象となるのは早くとも秋の終わりで、5歳未満の接種はそれ以降になる見通しだ。
コロラド大学アンシュッツ・メディカル・キャンパスの小児感染症専門家、ショーン・オリアリー博士は「新学期に向けて、より感染力の強い株が生まれ、まだワクチン接種の対象とならない人々がいるのは非常に心配だ」と述べた。
学校側は対面授業再開に向けて感染対策を強化している。例えば、サンバーナーディーノ市統一学区は4万7000人の生徒が今週、対面授業を再開する。カリフォルニア州はマスク着用を義務付けており、同学区は新しい空気清浄装置を導入している。
学区の授業再開計画では、新型コロナウイルスに感染した生徒が1人でも出れば、その生徒は自宅隔離となり、同じ教室で感染者が3人発生すれば、クラス全員が10日間自宅待機となる。全生徒の5%が感染した場合は学校が閉鎖される。
学区のレイチェル・モナレス副教育長は「データに目を配り、より強力な対策が必要なら教育長に提言する」と述べた。
迫る期限
元FRBエコノミストでジェーン・ファミリー・インスティテュートの上級研究員、クラウディア・サーム氏に取材したところでは、急に数カ月先の見通しが立たなくなり、就職プランを見直している女性がいるという。
「いつも国の決定を待てるわけではない。子供が12歳以下だから『我慢してパートタイムにするつもりだ』と言う友人がどんどん増えている。時計の針は動き続けている。新学期も、就職活動シーズンも迫っている」と話す。
ガブリエラ・ビラゴメス・モラレスさん(37)は、ワシントン州タコマ市で18歳、17歳、10歳、8歳の4人の子供を育てるシングルマザー。コロナ禍の影響で勤務先の育児施設が閉鎖されて仕事を失い、子供たちのオンライン学習を支えながら、苦労して仕事を探してきた。最近、企業内託児施設の仕事を見つけたが、学校の授業が再開するかがはっきりせず、不安を感じている。
「もし何かあったらどうすればいいんだろう。本当に悩ましい」とため息をついた。
(Lindsay Dunsmuir記者、Ann Saphir記者)
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