香港は中国で最も腐敗した都市になる
KILLING HONG KONG
そして8月31日、今度は制服警官の一団が太子駅構内で乗客に襲い掛かり、無差別に暴行を働いた。
フリージャーナリストのバオ・チョイは、7月21日の事件の調査ビデオを制作し、数々の賞を受賞したが、警察との共謀を証明するために車両登録データベースを不正に使用したとして有罪判決を受け、罰金を科せられた。
このビデオを放送した現地テレビ局香港電台には今年3月に新しい監督官が送り込まれた。以後、政治的な番組の放送には彼の事前承認が必要となった。
今年4月15日、香港における初めての国家安全教育日には、おもちゃの銃を別な児童の頭に向ける女子生徒の姿が目撃された。蘋果日報はその写真を掲載し、2019年8月31日の警官による無差別襲撃事件になぞらえた。するとクリス・タンは「フェイクニュース」だと猛反発。今年5月には「偽情報や嘘」の拡散を犯罪と見なすとの指針も発表された。
この警察国家は反対派を「人民の敵」と決め付け、壊滅させるつもりだ。なにしろ今は、国安法を盾にすれば警察が何をしても許され、全ての公務員の資格を審査できる時代。警察を批判する人間は誰でも「警察の敵」になってしまう。
マシュー・チャン首席秘書官(当時)が元朗駅での事件について「警察の対応は市民の期待に応えられなかった」と謝罪したとき、彼は警察監察官協会から露骨に非難された。
中国共産党が創建100周年を祝った7月1日は、香港が24年前に中国へ「返還」された記念日でもあった。北京の支配者たちが望むとおり、今の香港は恐怖のミニ警察国家となり、党と中央政府に従順な都市となった。かつての自由は失われ、代わりに本土並みの度し難い腐敗体質が流れ込んでいる。
繰り返される「腐敗追放」キャンペーンは、しょせんトカゲの尻尾切り。香港に蓄積された富の大きさを考えれば、ここが中国全土で最も腐り切った都会になるのは目に見えている。
かつてニューヨークやロンドンと並び称された国際商業都市・香港を、中国共産党は破壊し、ただの地方都市に変えようとしている。全ては、その一党独裁への抵抗を完璧に封殺するためだ。
From thediplomat.com