東京五輪迫るなか地方都市がコロナ最前線に バブル方式でも感染相次ぐ現実
東京五輪の開幕まで1週間、世界中からアスリートや大会関係者が続々と来日している。写真は15日、柔道のブラジル選手団が滞在している静岡県浜松市のホテル。従業員の感染が確認された(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
東京五輪の開幕まで1週間、世界中からアスリートや大会関係者が続々と来日している。政府は厳重な水際対策を取っているとし、大会組織委員会なども行動規則を定めているが、現実には代表団が合宿する複数の場所で新型コロナウイルスの陽性者や濃厚接触者が出ている。感染症のパンデミック(世界的大流行)下で世界最大のスポーツイベントを開く難しさが浮き彫りになった形で、受け入れた地方の自治体やホテルが感染症と戦う最前線と化している。
到着時は陰性、4日後に陽性
福岡県宗像市で合宿をする女子7人制ラグビーのロシア代表は、選手16人とスタッフ10人のうち、14日に50代のスタッフ1人が陽性と判断されて入院した。日本に到着した時点では全員陰性だったが、4日後に感染が確認された。現在、チームの他のメンバーは宿泊施設内の個室に隔離されている。
保健所が感染経路を調べているが、受け入れた多目的スポーツ総合施設の「グローバルアリーナ」は、組織委から指示された感染対策を完全に順守しており、施設に問題はなかったとしている。選手団は1棟を貸し切りで利用し、食事をする場所も一般客とは別にし、全てバスで移動しているという。
伊豆美沙子市長は14日、市民に謝罪のメッセージを出した。「当該選手団は来日以来、国の指針に沿って、確実に市民との接触を避ける対策をとっており、市中への感染拡大につながる状況は一切ないと考えます」とした。
鹿児島県鹿児島市の場合、受け入れ前に代表団が濃厚接触者と判定され、開幕間近だというのに14日から予定していた合宿が始まらないでいる。
男子7人制ラグビーの南アフリカ代表は千葉県の成田空港に到着後、同じ便に乗り合わせた一般客が陽性だったことが判明。代表団の18人は濃厚接触者の可能性があると判断され、鹿児島行きを見送った。メンバーはその後、全員陰性だったことがわかった。
市は2019年のラグビーワールドカップ日本大会でも南ア代表を受け入れた。南アが同大会で優勝したこともあり、今回も市を挙げて歓迎する予定だった。鹿児島サンロイヤルホテルの池田司総支配人は、「2─3日遅れても、ぜひ鹿児島の私どものホテルに来てもらいたいと思っている。準備は十分に整えているので、おみえになられたら精一杯お迎えしたい」と語った。