東京五輪迫るなか地方都市がコロナ最前線に バブル方式でも感染相次ぐ現実
このほか、これまで来日した各国代表団のうち、ウガンダ、セルビア、イスラエルのほか、数カ国の選手団から陽性者や濃厚接触者が出ている。ロイターは東京五輪・パラリンピックの大会組織委員会にコメントを求めたが、現時点で回答を得られていない。来日中の国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は菅義偉首相や小池百合子都知事との面会で、「日本国民にリスクを持ち込まない」と繰り返し述べている。
従業員が感染、選手から不満の声
受け入れ側のホテルの従業員が感染し、代表団が隔離を強いられているケースもある。静岡県浜松市で合宿をする柔道のブラジル選手団49人は、外部との接触をほぼ禁じられている。チームの受け入れ前に実施した検査などで、ホテルの従業員8人がコロナに感染していたことが分かったためだ。「保健所の担当者が濃厚接触者を追跡している。一般客も受け入れている、キャンセルが相次いでいる」と、従業員の1人は言う。
ホテル側は、いかに代表団が一般客と接触しないように距離を保つか、いかに従業員の安全を守るかに頭を悩ませている。前出の従業員によると、選手は専用のエレベーターを使用。選手団の世話をする従業員は優先的に検査を受けている。
選手団からは不満の声が出ており、ネイ・ウィルソン強化部長は「エレベーターのボタンを押すことさえできず、それを代行する人がいる。忍耐のゲームだ」と話す。
エレベータ、2台とも使用できず
神奈川県のあるホテルでは、五輪関係者は2つあるエレベーターのいずれも使用できない。一般客との接触を避けるためで、7階に宿泊するある大会関係者によると、警備員が24時間体制でエレベーターを監視、非常階段で昇り降りしているという。
また、食堂で朝食を取る際は、一般客と一緒にならないよう午前5時半から6時半までに利用時間を制限。朝早すぎると選手らから苦情が出た場合、ボックスに入れた食事を部屋まで運んでいる。
ホテルの支配人は、組織委から派遣された旅行会社のスタッフが選手に規則を説明しているのを見て、「選手の方々には相当ストレスがかかっているのではないか」と心配する。一方で、部屋の清掃スタッフの中にはワクチン未接種者もいるため、感染しないかどうか非常に心配だと語った。
(宮崎亜巳、Elaine Lies, Ju-min Park, 山光瑛美 編集:久保信博)
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