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事件ハイチ大統領暗殺、自宅に武装集団 暫定首相は非常事態を宣言
ハイチ政府は7日、モイーズ大統領(53)が同日未明、自宅に押し入った武装集団に射殺されたと発表した。写真はモイーズ大統領。2016年11月撮影(2021年 ロイター/Jeanty Junior Augustin)
ハイチ政府は7日、モイーズ大統領(53)が同日未明、自宅に押し入った武装集団に射殺されたと発表した。首都ポルトープランスでは数カ月前から武装集団による抗争が続いていた。大統領暗殺を受け、米国のほか、他の中南米諸国から犯行グループに対する非難が相次いでいる。
ハイチのジョセフ暫定首相は「野蛮な行為」と非難した上で「政府の持続性を確実にし、国を守るために全ての手段を講じる」と言明。閣議後にテレビ放映された演説で、期間2週間の非常事態を宣言した。
ジョセフ氏によると、事件が起きたのは現地時間午前1時ごろ。「身元不明の集団が大統領の自宅を襲撃し、大統領が殺害された。武装集団の何人かはスペイン語を話していた」と説明した。
ハイチの公用語はフランス語とクレオール語だが、当局者は犯行グループは英語とスペイン語を話していたとしており、外国人が含まれていた可能性があるとの見方を示している。
大統領夫人のマルティーヌ氏も銃撃されて重体。米テレビ局によると、治療のため米フロリダ州マイアミに搬送された。
ハイチのエドモンド駐米大使によると、武装集団は米麻薬取締局(DEA)の捜査官を装ってモイーズ大統領の自宅に押し入ったという。
事件を受け、バイデン米大統領は「凶悪な行為を非難する」と述べ、非常に憂慮すべき情勢で、一段の情報が必要と指摘した。
米ホワイトハウスのサキ報道官によると、米政府は「この悲劇的な襲撃」について情報を収集しており、「必要ないかなる支援も実施する用意を整えている」という。
グテレス国連事務総長の報道官は声明で「犯人は裁かれなければならない」と強調。「国連はハイチ政府および国民を引き続き支持する」とした。
国連安全保障理事会の7月の議長国であるフランスのニコラ・ド・リヴィエール国連大使も、大きな衝撃を受け悲しみを抱いていると表明。8日にも安保理の会合が開かれる見通しと述べた。
ジョセフ氏は、安保理の早急な開催を要請し、国際社会による暗殺事件の調査開始を求めた。
在ハイチ米大使館は「現在の治安情勢」を踏まえ、7日は閉館すると発表した。地元メディアによると、ポルトープランスの国際空港は閉鎖。ドミニカ共和国はハイチとの国境を封鎖した。
人口約1100万人のハイチは西半球最貧国で、2010年の大地震やハリケーンなど自然災害からの復興で苦闘していた。
モイーズ氏はバナナ輸出業者から政治家に転身し、17年に大統領に就任。今年に入り野党からは、モイーズ氏が任期を超えて独裁体制を築こうとしているとして批判の声が高まっていた。
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