アメリカ二大政党制が迎えた限界...ついに第三政党の躍進へ機は熟した
IT’S TIME TO PARTY
確かに共和党分裂への道筋はまだ不透明であり、トランプの党支配力は圧倒的に見える。だが今回の離党話は、支持者の離反に直結する党内の混乱を強く示唆するものだ。
「共和党支持者の少なくとも20~30%は新たな方向性を求めている」と、反トランプの中道右派候補のために資金調達や支援活動を行う「スタンドアップ・リパブリック」の共同代表を務める元共和党政策顧問のエバン・マクマリンは言う。
「右派の人々に今より居心地のいい『新しい家』を提供するチャンスが来た」
元共和党員を中心に新党が結成されたとしても、共和党支持票を分散させ、共和党残留派もろとも共倒れに終わるだけだろう。新党が勝利を望むなら、民主党支持者の一部も取り込む必要がある。
実際、民主党が24年の大統領選まで現在のまとまりを維持できる保証はない。党の左傾化が進み、支持者の反発を買った場合は特にそうだ。
「バイデンは党にとって適切な時期に登場した適切な人物と言えそうだが、もし再出馬したらショックだ」と、アメリカの選挙を研究するサザンアイダホ短期大学のラス・トレメイン准教授は言う。「そうなれば、党内左派と穏健派の間に真の亀裂が生じるだろう」
バイデン後継の最有力はハリスだが
バイデンが再出馬しない場合、最有力の後継候補はハリスだろう。だが、ハリスはリベラルな面もあるが、重要テーマについての言動が一貫性を欠いているため、一部のリベラル派から嫌われている。
24年の候補者探しでは、バーニー・サンダース、エリザベス・ウォーレン、コーリー・ブッカーの各上院議員やアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員など、より左派色の強い候補が好まれる可能性がある。逆に穏健派の有権者はこのタイプの候補者を嫌い、中道派の第三政党に魅力を感じるかもしれない。
国民皆保険(メディケア・フォー・オール)、警察予算削減、移民規制緩和など、多くのリベラル派が好む施策やスタンスは、年配の白人だけでなく非白人の相当部分から反感を買う傾向がある。
3月上旬に行われたイプソス/USAトゥデーの共同世論調査によると、警察予算削減を支持しているのは民主党支持者の34%、黒人の28%にすぎない。
世論調査会社パブリック・オピニオン・ストラテジーズによると、黒人やヒスパニック系有権者の3分の1近くが自分を保守派と考えている。「民主党内の非白人支持者の割合は大きく、しかも増加の一途をたどっている。彼らは白人支持者に比べ、かなり穏健な政治的立場だ」と、オープン・ラボズのショアは言う。