アメリカ二大政党制が迎えた限界...ついに第三政党の躍進へ機は熟した
IT’S TIME TO PARTY
差し当たりバイデン政権が上々の成果を上げていることで、政治的な二極化はひとまず沈静化している。しかし、来年の中間選挙に向けた選挙運動が本格化するのに伴い、二大政党への不満が高まり、その状況のまま24年の大統領選に突入すると、大半の専門家は予測している。
第三政党がそのような不満の受け皿になり得るのかもしれない。実際、中道系の新しい政党が必要だという声は、過去100年間で最も高まっている。二大政党に代わる新しい選択肢をつくるために動きだしている政治団体もある。
「1月の連邦議事堂乱入事件以降、私たちのウェブサイトへの訪問者数は1年前に比べて約1万倍、寄付は約2000倍に増加した」と、元共和党下院議員で現在は17年結成の独立系政党「サーブ・アメリカ・ムーブメント(SAM)」を率いるデービッド・ジョリーは言う。
24年の大統領選で第三政党出身の大統領が誕生するというのは、最も可能性が高いシナリオではないが、荒唐無稽な筋書きとも言い切れない。
そう判断できる理由はいくつかある。まず、2月にギャラップ社が発表した世論調査によると、第三政党の登場を望んでいる有権者の割合は空前の水準に達している。その割合は、民主党支持者の46%、共和党支持者の63%、無党派層の70%に上る。
共和党離れが加速している
特に共和党は、これまで盤石だった支持層のかなりの割合が第三政党に流出しかねない。州の有権者登録データによると、1月の連邦議事堂乱入事件後の数週間で、共和党員として有権者登録していた10万人以上が政党の登録を変更している。
このように共和党への支持が揺らいでいる状況を目の当たりにして、トランプとその周辺は当初、共和党を離党して「愛国者党」という新党を結成する可能性を模索した。
しかし結局、トランプはこのアイデアを放棄し、共和党を牛耳り続ける方針に転じた。24年の大統領選に自らが再出馬するか、そうでなくても共和党のキングメーカーとして君臨しようというわけだ。
共和党を支配し続けようというトランプの方針に対抗するために、共和党内の穏健派が動きだした。2月初めに約120人の共和党政治家と活動家がオンライン会議を行い、共和党の反トランプ派が離党して新党をつくる可能性を話し合った。
既にチェイニー以外にも、ミット・ロムニー上院議員やアダム・キンジンガー下院議員など、多くの穏健派有力議員が党の「トランプ化」に嫌悪感を表明している。
ジェフ・フレーク元上院議員、ロブ・ポートマン上院議員、チャーリー・デント元下院議員、パトリック・トゥーミー上院議員など、既に政界を去ったか去る予定の政治家もいる。