EUにも嫌われ始めた中国の戦狼自滅外交
China's 'Tone-Deaf' Diplomacy Hardens Attitudes in Europe, Brussels Expert Says
「クイーン・エリザベスの派遣が額面通り、つまりあらゆる国が調印した国連の原則を守るための国際的な努力であり、この地域における親善関係を築く手段であると受け取られることを期待する」とトゥゲンハートは述べた。
ドミニク・ラーブ英外相も、中国政府による香港の民主的権利が弾圧されていることへの懸念を表明している。だがボリス・ジョンソン首相率いる内閣のそれ以外の閣僚たちは今も、中国市場がもたらす貿易機会のことが気になるらしい。
例えばリシ・スナーク財務相は1日、新疆ウイグル自治区における人権侵害を批判する一方で、イギリスは中国との経済関係構築を続けるべきだと訴えた。
英中関係の「黄金期」は幻だった
ジョンソン政権はデービッド・キャメロン前政権下における英中関係の「黄金期」をある程度まで再現したいと考えているのではとの見方もある。もっともロンドン大学東洋アフリカ学院・中国研究所のスティーブ・ツァン所長は、そんな黄金期など「実際には存在したことがない」と言う。あくまでも対中関係改善のための「美辞麗句」だったというのだ。
中国政府がイギリスの意向を無視し、英中共同宣言が定めた義務を放棄し、香港や(のちには新疆ウイグル自治区において)「やりたい放題やる」ことを決めたことが明らかになった際、イギリス政府は黄金期を謳い続けることの「持続不可能な性質」を理解したとツァンは言う。
中国政府の態度はとげとげしさを増しているものの、ツァンに言わせれば、イギリスに対する外交政策に根本的な変化はない。変わったのは、中国の政策に対するイギリス側の受け止め方と理解だと彼は言う。
ツァンはこう締めくくった。「習は最近、外の世界からもっと愛される中国を目指すとアピールしているが、それでも彼の外交政策は転換を目指してはいない。中国のやり方を修正しようという呼びかけであって、外交政策を変えようというのではない」
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