密林で虐殺された遺体少なくとも10数体発見 軍と武装市民の戦闘激化するミャンマー
ミャンマーの混乱はいつまで続くのか RFA Burmese / YouTube
<突然のクーデターから半年、この国の状況はさらに混迷の度を深めている>
クーデターで民主政権を崩壊させアウン・サン・スー・チー氏やウィン・ミン大統領ら民主政府要人を逮捕、訴追。その一方で反軍政を唱える市民への弾圧を強めているミャンマー軍事政権は8月1日にクーデターから半年を迎える。
実弾発砲を含めたあらゆる人権侵害が反軍政の市民に対して行われているなか、各地で「国民防衛隊(PDF)」という武装した市民による軍との衝突、戦闘が激化しており、サガイン地方では軍とPDFによる激しい戦闘が起きた。
この戦闘で戦禍を逃れるためジャングルに逃れた市民が、掃討作戦を続ける軍に殺害されるケースもあり、同地方カニ郡区付近のジャングルで住民5人の虐殺遺体が発見され、付近には少なくとも10人の遺体が埋まっている可能性があるという。
発見された遺体の中には樹木から吊り下げられた様な明らかに「虐殺」された遺体もあり、軍による「蛮行」「人権侵害」の証拠として国際的な人権団体が厳しく非難する事態となっている。
密林に逃れた市民を軍が虐殺か
米政府系放送局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」が7月28日に伝えたところによると、サガイン地方カニ郡区ジーピントゥイン村近くのジャングルで首をロープで縛られて木に吊り下げられた遺体1体とその近くで遺体4体を住民が発見した。
さらにその付近には遺体を埋めた集団埋葬の形跡が3か所あり、少なくとも10人の遺体があるとみられているものの、周囲に地雷が埋められている可能性があるため、発掘作業は行えない状況が続いているという。
遺体の身元は依然不明だが、うち1人は60代の男性とみられている。この男性は武装市民の組織「国民防衛隊(PDF)」とは無関係のジャングルに避難した一般住民とみられている。
カニ郡区では軍が侵攻してきた7月11日以来、軍兵士と武装市民による戦闘が激化し、多数の犠牲者、行方不明者が出ているといわれており、その安否が気遣われている。
戦闘への巻添えを恐れた一般の住民が付近のジャングルに逃げたが、そこへ武装市民を追跡、掃討する目的の兵士らが追跡し、避難民を発見しては無残な方法で殺害したのが発見された5人の遺体とみられている。
現地のPDF関係者によると、軍が侵攻して一般市民に対して武力行使を始めたことから住民らが周辺地区のPDFに支援を求め、多くの武装市民がカニ郡区に駆けつけて軍と戦闘になったという。しかし駆けつけたPDFも多くが軍による包囲網のトラップにはまり、多くが命を落としたとされている。