「ワクチン接種しなければ投獄」でも拒否するフィリピン国民が忘れない「苦い経験」
2021年6月29日(火)17時54分
国民の不信の理由として考えられるのは、デング熱ワクチンの経験だ。フィリピンでは16年からフランスの製薬大手が開発したデング熱ワクチンの大規模な集団接種を行ったが、接種により深刻な症状が出ることが17年に発表され、政府はこのワクチンの使用を禁止した。
新型コロナのワクチンでは、アストラゼネカ社製を接種したごく少数の人に血栓が見つかり、シノバック社製に対する不信感も広がるなど、国民は不安を募らせている。
こうした状況を受けて、フィリピン政府は5月中旬に、接種の直前までワクチンの製造元を明かさないと通達した(自分の番が来て希望するワクチンでなければ、別の列に並び直すことになる)。
ドゥテルテの「脅迫」は、感染拡大を食い止めるために必要な規模の接種を実現できないかもしれないという懸念の裏返しでもある。ワクチンは十分に確保しているフィリピンだが、前途は多難だ。
©2021 The Diplomat
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