日本の大学教員だった父を突然、中国当局に拘束されて
弁護士にも親族に起訴内容を語らせない
私は父の無実を信じて疑わない。父自身が今回のスパイ容疑を徹底して認めていないからこそ、中国当局は父を解放できず拘束が長引いている可能性が高い。私たち家族や父の性格を良く知る人達は父の潔白を確信している。父を信じる多くの方々に、解放へ向けた署名活動やアピールで協力いただいてくれていることが何よりもの救いだ。
公正な審理の元であれば、父が無罪であることは間違いなく証明されるはずだ。しかしながら、中国当局は国家機密保護の名目で起訴内容を非公開にしている。唯一、父と接見した弁護士が起訴内容を確認できているが、機密保持の誓約を中国当局と結ばされているため、その内容は私たち親族へは明かされない。そして弁護士もまた、今後の公判の予定は一切知らせていない。私たちが最も危惧しているのは、このまま全てが非公開のまま公判が行われ、覆すことのできない判決を一方的に下されてしまうことだ。
余りにも先行きが不透明な状況ではあるが、父1人が必死に闘っている中、私はそれをただ黙って傍観するつもりは全くない。いわれなきスパイ容疑を被せられている父を助けるため、私は声を上げ続ける。父の無罪が認められ、1日も早く健康な状態で現在の拘束から解かれることのみを強く望む。しかし、例えそれが叶ったとしても、拘束によって私たち家族が失った年月は決して戻って来ない。
<筆者は拘束された袁克勤氏の長男で札幌市在住の会社員。29歳>