G7「一帯一路」対抗策は中国に痛手か(その1)
また知識層に人気のある「観察者網」は6月13日に<アメリカは世界的インフラ計画を宣言し、バイデンは現場で"人を引きずり込んだ">という見出しでバイデンの心理と現状を分析している。
それ以外にも様々あるが、政府が言えないことは「網友」と称してネットユーザーが言ったことにして発表しているので、案外に「網友」の声も拾ってみないと本音はわからない。これらから総合的に見えてくるのは、以下のような中国側の主張である。
●バイデンは「聯欧抗中(欧州と連盟を組み中国に対抗する)」という戦略で動いているが、欧州の意見は一致していない。
●イタリアはそもそも一帯一路加盟国であり、日本は安倍が「第三国における一帯一路協力方式」を唱えて、半分は一帯一路に足を突っ込んでいる。ドイツはフォルクスワーゲンなど1980年代から中国の自動車産業に深く入り込んでおり、フランスも原子力発電などさまざまな分野で中国と連携しており、中国を敵に回す気はないと明言している。
●バイデンの目的は一つしかない。アメリカが、大国として台頭してきた中国に追い越されそうなので、何としてもアメリカの覇権を維持したいと必死になっているだけだ。
そのために民主主義を口実にして小さなグループを作っているが、アメリカの覇権維持のために自国の利益を犠牲にしようという国は多くない。
●国際秩序は国連が決めるもので、各国は国連憲章に従わなければならない。しかしアメリカは国連憲章ではなく、G7という自国に有利な小さなグループの利害で国際社会を動かそうとしている。おまけにアメリカ一国では中国に勝てないので、他の国を引きずり込んでいるのである。
●今年4月のイギリスの「フィナンシャル・タイムズ」は「もう遅い。一帯一路には120ヵ国以上が加盟しているが、EU27ヵ国の内の半分以上が既にその加盟国の中に入っている」と書いている。今さら「一帯一路」の代替案など実現不可能だ。
●そもそも資金はどうするのか?バイデンは自国のインフラ投資に関して2.3兆ドルを提案したが、資金捻出に当たって金持ちや大企業の税金を増やすと言ったために共和党が猛反対しているじゃないか。バイデンはどんどん譲歩して1.7兆ドルにまで下げたが、それでも共和党が譲らず9280億ドルにまで下げろと迫っている。自国でのインフラ投資が崩壊しそうなのに、他国に支援か?(筆者注:これは「網友」の意見だが、この予算とB3Wの予算は別枠と位置付けるべきだろう。)