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サイエンス塩基配列に「Z」を持つウイルスが、多数存在した
細菌を攻撃するバクテリオファージウイルス iLexx - iStock
<生物の細胞内にあるDNAの塩基は、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類と考えられているが、特殊な塩基を含んだDNAを持つウイルスが多数いることが発見された>
生物の細胞内にあるDNA(デオキシリボ核酸)の塩基は、一般に、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)の4種類と考えられている。しかしこのほど、アデニンの代わりに「2-アミノアデノシン(Z)」を組み込むDNAを持つウイルスについて、3本の研究論文が学術雑誌「サイエンス」で相次いで発表された。この特殊なDNAは「Zゲノム」と呼ばれている。
「Z・T・G・C」のDNAを持つウイルスが発見
1977年、アデニンが存在しない代わりに「2-アミノアデノシン」を含むDNAを持つシアノファージ(藍藻に感染するウイルス)「S-2L」が初めて発見された。通常は「A・T・G・C」からなるDNAをもつが、このウイルスは「Z・T・G・C」を基本に遺伝情報が描かれていた。しかし、それ以降、同様の塩基からなるDNAを持つ生物やウイルスは見つかっていなかった。
「Zゲノム」の理由として、ウイルスの自己防御が指摘されている。アデニンとチミンの間には2本の水素結合ができる一方、「2-アミノアデノシン」は、その対であるチミンと3本の水素結合を形成し、これによって「Zゲノム」はより強固となる。しかし、その詳しい生合成や働きなどについては、これまでほとんど解明されていない。
天津大学を中心とする中国の研究チームと仏パスツール研究所の研究チームは、「PurZ」と「PurB」と呼ばれる酵素によって「2-アミノアデノシン」が生成されることを示した。
Zゲノムのバクテリオファージは200種も存在した
この研究成果をふまえ、仏パリ=サクレ大学の研究チームでは、特殊な酵素「DpoZ」が「2-アミノアデノシン」のDNAへの組み込みを担っていることを明らかにしている。また、ゲノム配列データベースでこれらの酵素に関連する配列を調べたところ、「Zゲノム」のDNAを持つバクテリオファージ(細菌や古細菌に感染して複製するウイルス)は200種も存在することがわかった。
「『Zゲノム』は一般的な細胞機構に適合するのか」など、「Zゲノム」について解明されていない点は、まだ多い。また、1969年に南極に落下した隕石から「Zゲノム」が発見されていることから、生命の起源や宇宙生物学の研究においても関心を集めている。
Are Viruses Aliens?