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朝鮮半島

中国「激怒」の制裁再び? 韓国・文在寅を追い詰めるTHAAD増強計画

Upgrading South Korean THAAD

2021年5月19日(水)21時31分
ユン・ソクジュン(元韓国海軍大佐、韓国軍事問題研究院客員研究員)

ロイド・オースティン米国防長官は、2プラス2協議のとき、星州施設の不備は容認できないと発言したとされる。だが、文は難しい立場にある。THAADに何らかの変更を加えていることを認めれば、中国の猛反発に遭う恐れがある。16年のような激しい不買運動が再び起これば、韓国経済にも、文の政治生命にも大打撃となるだろう。

その一方で、中国としても、韓国を痛め付け過ぎれば、アメリカの中国封じ込め戦略に一段と加担させる恐れがある。

THAADを取り巻く状況は、文政権の幅広い外交政策と同様に、極めて細やかなバランスが取られている。THAADが遠隔操作もできるようになれば、北朝鮮の脅威に対する防衛は確実に強化されるだろう。それに文は、米韓同盟を堅持する姿勢を示すためにも、計画への同意を表明したいと考えるだろう。

これは、軍事とは無関係な国内問題のために支持率が下がっている与党・共に民主党にとっても重要だ。しかも来年は大統領選挙が控えている。

その一方で、文が唱える「朝鮮半島和平プロセス」のためには、THAADは現状のままにしておいたほうが賢明だろう。だがジョー・バイデン米大統領は4月末の施政方針演説で、北朝鮮に対して厳しい姿勢を示し、文の提案を応援する気配はなかった。

文政権がこのままTHAADのアップグレード問題を巧妙に避けていれば、中国は今までどおり沈黙を維持するだろう。だが文は、いつまでも「戦略的曖昧さ」政策を続けることはできないはずだ。

©2021 The Diplomat

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