中国「激怒」の制裁再び? 韓国・文在寅を追い詰めるTHAAD増強計画
Upgrading South Korean THAAD
2020年以降、米軍はより大きな政策の一環として、THAADの拡張を熱心に進めてきた。だが、今回のことで韓国国内では新たな論争が起こりそうだ。21年の米国の国防予算案に、韓国のTHAAD拡張が韓国の費用負担で行われることが示唆されているから、なおさらだ。
さらにジョン・ヒルMDA局長は20年、在韓米軍の「統合緊急作戦要求(JEON)」に基づく調達が完了すれば、THAADアップグレードの準備は整うと述べた。
JEONとは、米軍の緊急能力獲得プロセスのうち、現場の司令官が不測事態対応作戦のために不可欠と認めた要求をいう。在韓米軍の場合、これはTHAADと米軍のパトリオットミサイルを1つの防衛システムに統合することを意味する。
これは米軍が通信システムをネットワーク化して、THAADの遠隔操作能力を獲得し、レーダー等を星州に残したまま、発射台を非武装地帯や在韓米軍の司令部(米軍基地キャンプ・ハンフリーズ)に移す可能性を示唆している。ビンセント・ブルックス前在韓米軍司令官は数年前、JEONは、北朝鮮のミサイル脅威に適切に対処するためのTHAADのアップグレードが目的だと述べている。
計画を知らされていたのは明らか
韓国政府は、一貫してこれを否定してきた。3月にソウルで米韓外務・国防担当閣僚協議(2プラス2)が開かれる前にも、星州以外でのTHAADの運用や、THAADのアップグレードについてアメリカと協議したことはないと断言した。だが、その主張も近く変わるかもしれない。
実際、アメリカが韓国政府にTHAADのアップグレード計画を知らせていたことは、分かりきっている。なにしろ米軍の21年度予算案には、星州のTHAAD施設における建設作業に4900万ドルがかかるが、「韓国側の費用負担案件」と書かれているのだ。
在韓米軍は、北朝鮮のさらなる軍事力増強という問題に直面している。これには不規則な軌道を取る新型短距離弾道ミサイルのKN-23や、600ミリもの口径を持つ超大型放射砲KN-25が含まれる。
KN-23は潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)で、THAADのレーダーをかいくぐるとみられることから、THAADを別の兵器とりわけパトリオットミサイルと統合することが最善策となる。28年に完成予定の新型イージス駆逐艦と組み合わせてもいい。
日本のミサイル防衛システムとグアムにあるTHAADが韓国と同じような形でアップグレードされるならば、その3つをアラスカにある米軍の司令部を通じて結ぶこともできるだろう。