コロナ封じのため国民の帰国禁止...家族に会えないオーストラリア人の嘆き
The New Hermit Kingdom
さらに、オーストラリアは昨年、30年ぶりの景気後退に見舞われたにもかかわらず、国境閉鎖の経済的コストが考慮されることはほとんどない。例えば、昨年1月に約10万人の留学生がオーストラリアに到着した。既に公的資金が枯渇している大学は、留学生が途絶えることでさらに40億豪ドル(約3400億円)近い収入を失うことになる。
パンデミック前に観光業はオーストラリアの労働市場の5%を占めていた。国として「重要過ぎてつぶせない」産業はいくつかあるが、教育と観光は含まれていないようだ。
人的損害は増える一方だ。インドのビハール州で生まれ、乳児期にオーストラリアの両親の養子になったジャーナリストのラティカ・バークは今年5月、シドニー・モーニング・ヘラルド紙に次のように書いている。
「この12カ月、私は何度も涙を流しました。オーストラリアが新型コロナによる死を食い止めようとするあまり、人間性を手放してしまったのはなぜかと自問しています」
ロンドン在住のバークは、イギリスで市民権の取得を考えている。イギリスはオーストラリアのように自分を締め出そうとすることはないだろうと、信じているから。
先日、昨年4月に生まれた孫娘にいまだ会えない私の母から、シドニー湾の写真が届いた。フェリーがオペラハウスの前を横切り、陽光に輝く水面を走る。母が添えたキャプションは、オーストラリアの貴重さと、それを共有しようとしないリーダーたちの頑迷さを物語っていた。「隠遁の王国に訪れた、美しい朝」
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