最新記事

コロナワクチン

中南米で米国ワクチン接種ツアーが人気 航空運賃も急騰

2021年5月17日(月)11時34分

ラテンアメリカ諸国におけるワクチン接種計画への不信感も1つの要因だ、とサンチェス氏は指摘する。

当局により大量の偽ワクチンが押収されたとの報道や、2回目の接種の時期が来たときにワクチンが不足しているといった点も、ラテンアメリカ諸国の人々が挙げる不信感の理由だ。

航空会社も需要急増

ワクチン接種ツアーは米国向け航空旅客が急増する契機となった。ロンドンに拠点を置く航空コンサルタント会社MIDASアビエーションのレネ・アーマス・マエズ民間航空担当副社長は、航空各社が増便を進めているものの、出発日時の迫った便の料金は1月に比べ2倍、あるいは3倍にも上昇していると述べた。

ラテンアメリカ地域最大の航空会社であるLATAM(ラタム)航空グループは6日、新型コロナウイルスに対するワクチン接種のため米国に向かおうとするラテンアメリカ諸国の人々による需要が増大しているとした。

メキシコ航空大手アエロメヒコによると、メキシコ・米国間の航空旅客数は、3月から4月にかけて35%増加した。

またアメリカン航空は、ここ数カ月、ラテンアメリカ各地からの需要が急増しており、特にコロンビア、エクアドル、メキシコ方面を増便していると明らかにした。

「これらの市場の多くにおける需要増大に対し、運航頻度の増加、新ルートの追加、ワイドボディ機の利用などで対応し、結果として輸送能力が増大している」と説明した。

ジュリアナ・コラメオさん(29)にとって、ワクチン接種を受けるチャンスが得られたことは救いになった。メキシコ市に住むコラメオさんとボーイフレンドは、2人とも2020年に新型コロナに感染した。

2人は4月にニューヨーク市を訪れ、薬局でワクチン接種を受けた。

「ワクチン接種を受けて、泣きたい気分だった。ホッとして、希望が生まれた」とコラメオさんは言う。「米国で接種を受けられてとても嬉しい。もっと多くの人が(こういう形で)接種できればいいのに」

(Anthony Esposito記者、Cassandra Garrison記者、Marco Aquino記者)

(翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏とゼレンスキー氏が「非常に生産的な」協議

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中