最新記事

東京五輪

ホテルで24時間監視、食事はカップ麺の「おもてなし」 欧州選手団がマジギレの東京五輪プレ大会

2021年5月15日(土)19時15分
さかい もとみ(ジャーナリスト) *PRESIDENT Onlineからの転載

仮にコロナ感染が7月まで収まらず、それでも五輪本番に突入したら――選手村で選手らは連日、自室で3食をすべて弁当でまかない、行動範囲も競技会場や公式練習場と選手村との行き来だけとなる公算が高い。これで最大のパフォーマンスを出せという方が無理ではないか。

問題点3「揚げ物弁当とカップ麺ばかり」

「炭水化物ばかりでお腹は膨れるが、フレッシュな野菜や果物が何もない。タンパク質もない」

チームスタッフが「東京にやっと着いた」というメッセージとともにInstagramに載せていた夕食の写真には、揚げ物ばかりの弁当とポテトサラダが写っていた。

reuters__20210515_190751.jpg

大会初日、選手らに配られたお弁当。揚げ物はいくつかの種類から選べたようだが......(一部、画像を加工処理しています) 写真提供=欧州チーム随行のコーチ

いうまでもなくアスリートはコンディション維持のため、さまざまな食事制限や食べるべきものが決まっている。それにしてもこれではバランスが悪い。ところが運営側が「足りないならこれを」と持ってきたのはカップ麺。まったくピンボケな対応は選手らの怒りに火を注いだ。

reuters__20210515_190729.jpg

会期の後半もカップ麺が用意された。「鴨だしそば」もあったが、外国人選手に「好みのフレーバーを選べ」というのは無理だろう。 写真提供=欧州チーム随行の役員

その後も食事の供給をめぐっては、チームの希望と運営側の対応がチグハグな状態が続いた。納得できない選手らは自ら解決するため、慣れない日本語サイトを使って、外部から食料などを取り寄せたという。

「ビタミンが足りないので『選手用にフルーツジュースを』と頼んだら、届いたのは2日後だった」「弁当のラインナップに辟易した選手が、ウーバーイーツをホテルに呼んだ」「生のフルーツがほしいと言っているのに、シロップ漬けのパックが届いた」

reuters__20210515_190757.jpg

「生の果物が食べたい」とのリクエストに対し用意されたフルーツのパック 写真提供=欧州チーム随行の役員

それでも会期が後半に向かうにつれ、弁当の中身はずいぶん進化したようだ。しかし、途中からそうした「選手が納得できる弁当」を用意できたならば、どうしてそれを最初から用意できなかったのか。大会における飲食物の供給に関しては完全に失敗だったといってよいだろう。

問題点4「練習で"密"が生じたのは本当?」

飲食物をめぐる「こじれ」に反して、競技会そのものは順調に行われた。大会では日本選手の活躍も目立った。中でも14歳の玉井陸斗選手が高飛び込みで五輪切符を手にしたのは、明るい話題となった。

一方、日本メディアの着目点には問題があったようだ。

大会初日の練習で選手らが間隔をほとんど空けないで飛び込み台に整列した状況を「選手が密」と伝えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏への量刑言い渡し延期、米NY地裁 不倫口

ビジネス

スイス中銀、物価安定目標の維持が今後も最重要課題=

ワールド

北朝鮮のロシア産石油輸入量、国連の制限を超過 衛星

ワールド

COP29議長国、年間2500億ドルの先進国拠出を
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 6
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    巨大隕石の衝突が「生命を進化」させた? 地球史初期…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 6
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中