欧州各国、コロナ検査キット無償配布 一方で製薬会社の「暴利」批判も
子ども含む全国民3分の1の初回配布分が出荷完了
筆者は、すぐに薬局に行かなかった。すると、配布から数日後、テレビのニュースでチューリヒの繁華街にあるA薬局の様子が流れ、「一気に人が来たため、すでに不足気味になっている。しかし、ロシュは一定量の配送はすると言っており、次の水曜か木曜にはまた配布できるはずだ」と店長が話していた。その水曜日、チューリヒでB薬局に行ってみるとまだ品切れ状態だった。
配布から10日後の午後、今度はC薬局に足を運んだ。もう数日待たないとだめだろうと思っていたら、あっさりと受け取れた。ただし、C薬局では「一家庭に2パックまで」と制限を設けていて、息子の分をもらうことはできなかった。店員に聞くと、午前中は受け取りたい人で長蛇の列だったそうだ。
スイス薬剤師連盟は、検査キットの数が限定的なため国民には仲間意識をもってもらい、必要な分だけ受け取るようお願いするとしている。将来的には他社の検査キットも承認され、購入も自由にできるようになるだろうとのことだ。
同連盟の説明通り、5月10日からは米ベクトン・ディッキンソンアンドカンパニーの検査キットの配布も始まった。
薬局の負担大
ロシュの5個の検査キットは透明な袋に入っている。検査キットは25個の箱入り(医療機関への販売単位)で、各薬局が箱から出し、5個ずつ手作業で詰め直している。なかには間違いがあってはいけないからと、1パックずつ計量し、重量によって最終チェックをする薬局まである。
スイス薬剤師連盟は、この作業は薬局の負担が大きいと公的な場で述べた。ロシュは近い将来5個入りパッケージを販売する予定になっているというが、いつから可能なのかは不明だ。