欧州各国、コロナ検査キット無償配布 一方で製薬会社の「暴利」批判も
スイスの薬局で無償配布が始まった新型コロナウイルス抗原検査キット。韓国のSDバイオセンサー製、スイスの製薬大手ロシュ販売で1パック5個入り(筆者撮影)
<日本からすれば無償配布があるだけで十分な話だが、実際に開始された国では問題も──>
フランスやドイツでは、短時間で結果がわかる新型コロナウイルス抗原検査が医療機関や薬局などで無料で受けられる。オーストリアでは、3月から15歳以上の国民に、この抗原検査キットが薬局で無償配布されている。
4月9日からは、イギリスでも、イングランド地方において全市民に抗原検査キットの無償配布が始まった。自分で検査を行い、陽性の判定が出た場合はPCR検査を受けることが必要となる。
スイスでも4月7日から、全国民860万人への検査キットの無償配布が薬局で始まった。数日で不足が生じたものの再出荷され、スイス放送協会によると、配布から1カ月経った現在までに国民のおよそ3分の1が受領した(1000万個配布)。
高精度の検査キット、1人毎月5個
スイスで無償配布されている検査キットは、韓国のSDバイオセンサー製で、スイスの製薬大手ロシュが販売している。キットの説明書によると、検査者自身が行った場合の本検査の感度(正しく陽性が出る確率)は82.5%で、特異度(正しく陰性が出る確率)は100%となっている。変異株の有無もわかる。
健康保険証を持参すると薬局でもらえ、オンラインでの申請を受け付けている薬局もある。年齢制限はなく1人につき5個配られ、今後、スイス政府の指示が変更になるまで毎月5個もらえることになっている。つまり定期的に使えば、1週間に1度の割合で自己検査できる。
もしも割り当て分の5個以上がほしい場合は薬局にて自費で購入できるそうだが、目下は不足気味のため、おそらく難しいだろう。
チューリヒ市内に住む筆者の知人は長期出張があり、配布を心待ちにして、配布開始当日に受け取りに行ったという。一方、チューリヒ近郊に住む友人は、朝、スーパーに買い物に行き、向かい側にある薬局に長い列ができていたのを見て配布が始まったことを思い出した。一旦帰宅して、健康保険証を持ってその薬局へ行き、夫婦とスポーツの試合であちこち出かける上の子ども(中学生)の分、計3パックを受け取った。下の小学生の子どもの分ももらえるとは知らなかったそうだ。