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中国は、アメリカが去った中東への「積極進出」で何を狙っているのか?

NEW STAR IN THE MIDDLE EAST

2021年4月27日(火)18時21分
シュロモ・ベンアミ(歴史家、イスラエル元外相)

中国にとって、中東での戦争で原油輸入が途絶したり投資が損なわれるのは最も避けたい事態だ。つまり中国は責任ある利害関係者の立場だが、自ら中東の安全保障を担保することに前向きなわけではない。

さらに中国は注意深く、中東で続く紛争に巻き込まれないようにしている。アフガニスタンやイラクで中国が経済的影響力を拡大できているのはアメリカが膨大な人的・金銭的犠牲を払ったおかげだと認識しており、自国がこの種の「投資」を行う気もない。

極言すれば、米主導の安全保障体制の維持こそ、中国にとって経済的に最も利益になる。中東の主要なパートナー国の多くがアメリカの同盟国なのは、それが一因だ。

イランとのCSPは例外だが、これも経済的動機に基づいている。目的は、2018年にアメリカが決定した核合意離脱と経済制裁再開の打撃が著しいイランとの2国間貿易の復活だ。合意復帰を目指すバイデン政権がイランとの間接協議に乗り出す前に行われた協定署名は、対米交渉でイランを優位にし、制裁解除のスピードアップも狙った中国による計算ずくの行動だった。

アメリカは中東で当面、明らかな軍事的優位を維持するだろう。だが中国の戦略的台頭を抑え込むには、軍事力だけでは十分でない。政治的影響力や経済的関与、文化的影響力も増大させない限り、バイデン自身が発言したように、アメリカは中国に「打ちのめされる」ことになる。

©Project Syndicate

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