最新記事

感染症対策

米保健当局、J&J製ワクチンの使用再開 「血栓症リスク極めて低い」

2021年4月24日(土)12時50分

米保健当局は23日、血栓症の報告を受けて10日にわたり使用が中止されていたジョンソン・エンド・ジョンソンの新型コロナウイルスワクチンについて、接種を再開してもよいという見解を示した。写真は同日、スペインでJ&J製ワクチンの接種を受ける人(2021年 ロイター/Jon Nazca)

米保健当局は23日、血栓症の報告を受けて10日にわたり使用が中止されていたジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)の新型コロナウイルスワクチンについて、接種を再開してもよいという見解を示した。

これに先立ち、疾病対策センター(CDC)の諮問委員会は、ワクチンと血栓症が関連している可能性はあるものの、「利点が明らかにリスクを上回る」とし、接種再開を提言していた。

CDCのワレンスキー所長も会見で、「詳細な分析の結果、(血栓症との)関連性はあるとみられるが、リスクは非常に低い」とし、これ以上の使用中止を推奨しないと述べた。

米食品医薬品局(FDA)は、早ければ24日に接種が再開されると指摘。製品情報でリスクに関する警告も新たに加えるとした。

CDCとFDAは先週、J&Jワクチンを接種した50歳以下の女性6人に血栓が生じる事例が報告されたことを受け、接種を一時中止するよう勧告し、調査を進めていた。

諮問委のメンバーは血栓症について「新たなリスク」としつつも、「極めて低いリスク」と指摘した。

諮問委は18歳以上を対象にJ&Jワクチン接種を推奨することを賛成10、反対4、棄権1で改めて確認。反対した委員は女性がリスクについて十分に情報を与えられていなかったり、代替ワクチンを選択できることを知らされていなかったりする可能性があるとの懸念を示した。

一方、J&Jのポール・ストフェルズ最高科学責任者(CSO)は「今回の委員会の勧告は、数百万人の国民が緊急的に必要としているワクチン接種を安全な方法で継続するための重要な一歩」と評価。引き続きCDC、FDA、欧州当局と協力していくとした。

分析によると、J&Jワクチン接種後に血栓の事例が報告されたのは年齢50歳以下の女性で13人と、ワクチン接種100万回に対し7件の確率。50歳以上の女性では2人と、同1件以下の確率。男性で血栓の事例はない。

また、深刻な血栓は脳だけでなく、体の他の部分にも発症したことが確認された。いずれも血小板の減少を伴うという。

CDCは22日、J&Jワクチン接種後に死亡したオレゴン州の女性と、入院したテキサス州の女性の2事例について調査を進めていると発表した。

*内容を追加しました。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・新型コロナが重症化してしまう人に不足していた「ビタミン」の正体
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...



今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 8
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 9
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 10
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ...犠牲者急増で、増援部隊が到着予定と発言
  • 4
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 9
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 10
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 10
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中