日米首脳会談・共同声明の「からくり」──中国は本当に「激怒」したのか?
中国政府は日米に駐在する中国大使館に抗議表明を出させた。すると日本メディアは飛びつくように(やっと批判声明を出してくれたと言わんばかりに)、「中国が激しく抗議しています!」と一斉に報道し、「中国激怒」の印象を日本国民に与えようと「涙ぐましいほどの努力」をしていることが窺(うかが)えた。
しかし、たかだか大使館だ。
中央はまだ「怒り」を露わにしていない。
中国外交部の「自作自演?」の「抗議表明もどき」
真夜中(日本時間の1時頃)になると、ようやく中国外交部のウェブサイトに一組の「問答」が公開された。
すると、これを見つけた日本の大手新聞がネットで、中国外交部が抗議の「談話」を発表したという形で報道したので、他の日本メディアもそれに飛びついた。「遂に外交部が激怒してくれた」と言わんばかりだ。
ところが日本が「外交部談話」という形で報道したものの中身は、実は「自作自演」に近いものだった。
なぜなら、この一組の「問答」は「某記者が電話で質問してきたので外交部の発言人(スポークスマン)が電話で回答したものにすぎない」ことが、このページを詳細に見れば明らかなのである。
もし普通に定例記者会見などで回答する時には、必ずスポークスマンの居丈高な写真と、質問をしたメディアの名前が書いてある。たとえばこういう形でで公開される。もちろんこの日は土曜日なので定例記者会見がなかったということもあろうが、このような「誰かさんが電話で聞いてきたので、外交部スポークスマンが電話で回答しました」などというのは、自分が言いたいことを「誰かさん」に聞いてもらう形を取ればいいわけだから、「架空の人物」であってもいいわけで、「自作自演」の可能性が高い。
だというのに、某大手テレビ局は何としても「中国が激しく抗議している」ということを表したいために、一組の「問答」のページを、「問」と「答」の文字の部分が見えないようにぼかして、その番組が言いたい部分の文字だけを「ぼかさないで」報道した。
これはもはや「詐欺」と言ってもいいほどの程度まで至っており、なぜここまで「中国が激怒している」ということを日本のメディアは言いたいのか、理解に苦しむレベルだ。
4月19日に、定例記者会見で日本メディアの質問を受けて外交部が抗議表明
4月19日になると、中国外交部は正式の定例記者会見を開き、そのページにあるように日本のNHKと日本テレビの記者による質問を受け付け、その質問に対する回答として「初めて」意思表示をした。