ケリー特使訪中──アメリカ対中強硬の本気度と中国の反応
しかし、それは紛れもない「日本人の声」である。
「何の相談もなかった」とか「きちんと説明してから実行に移して欲しい」あるいは「絶対に反対だ!」といった日本人の漁業関係者の声を、CCTVは「これでもか」とばかりに拡散させている。
この時期に、こういう事態を惹起させるような動き方を日本政府にはしてほしくない。
アメリカの本気度を分析しようと原稿に手を付けたが、蓋を開けてみれば、なんと、ケリー訪中にかこつけた日本批判が中国のネットに溢れているではないか。
何とも不愉快な現実だ。
東京オリンピック招致に当たり、安倍前首相は「福島はコントロール下にある」と高らかに英語で国際社会に宣言している。だとすれば同様に、「どのようにコントロールされているから、このような措置を採る」といった類の説明を、日本国民に対してだけでなく国際社会にも丁寧に発信してから決定の表明をすべきだったのではないだろうか。
このようなことで日本が批判にさらされるのは不愉快でならない。日本にとって不利でもある。絶対に避けてほしかったと強く思う。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
[執筆者]遠藤 誉
中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。中国問題グローバル研究所所長。筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会学研究所客員研究員・教授などを歴任。著書に『裏切りと陰謀の中国共産党建党100年秘史 習近平 父を破滅させた鄧小平への復讐』(ビジネス社、3月22日出版)、『ポストコロナの米中覇権とデジタル人民元』、『激突!遠藤vs田原 日中と習近平国賓』、『米中貿易戦争の裏側 東アジアの地殻変動を読み解く』,『「中国製造2025」の衝撃 習近平はいま何を目論んでいるのか』、『毛沢東 日本軍と共謀した男』、『卡子(チャーズ) 中国建国の残火』、『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』、『中国がシリコンバレーとつながるとき』など多数。