ドイツで注目の出口政策モデルプラン 「デイパス」とは
クイックテストを受け、陰性の結果が出た人は、その当日に限り有効な「デイパス」を受け取る...... REUTERS/Kai Pfaffenbach
<暗い冬が終わり日が長くなる春先は、ドイツ人の誰もが外出したくなる季節だ。しかし、長引くロックダウンに一般市民の我慢も限界に達している。そんな中、ある出口政策モデルプログラムが注目を集めている。>
どうやって「普通」を取り戻すのか
2月に大寒波が襲ったせいか、ドイツの春は今年はやや遅めに訪れた。3月末、サマータイムが始まり、気温が上昇し、日差しが強くなると、復活祭間近ということもあって、大勢の人々が戸外に繰り出した。現在はまだロックダウン中だが、街角や公園に人々が集う風景はまるでパンデミックなどないかのようだ。警官はいるが、特に取り締まりもない。コロナ抑止の行動制限に反対するデモでもなく、春先に太陽を求めて集う人々を、警察も取り締まる気になれないのだろう。
ロックダウンがあまりにも長引き、ルール変更も多すぎて、現在どんな制約があるのかもはや人々も追いつけていない。だが、欧州は第三波に突入しており、状況は「クリスマスより悪くなる」と言われている。メルケル首相も第三波は基本的に「新しいパンデミックの到来」だと述べた。つまり、1年間頑張った末に「振り出しに戻る」というわけだ。人々の我慢もそろそろ限界に達している。
これから日差しがどんどん強くなり、ドイツ人にとって大変重要な夏休みのシーズンもやってくる。いつまでも市民の生活を制限するわけにもいかない。そこで、バーデン=ヴュルテンベルク州の大学都市テュービンゲンの実験モデルが注目を集めている。
テストで陰性ならデイパスをもらえる
テュービンゲン大学とテュービンゲン地区ドイツ赤十字、および州が協力して実験的に行われている「安全とともに開く」プロジェクトでは、市中心部の数カ所で無料で提供されているクイックテストを受け、陰性の結果が出た人は、その当日に限り有効な「デイパス」をもらい、市内の施設を比較的自由に利用できるというものだ。例えば、レストラン屋外での食事やショッピングはもちろん、劇場や映画館などにも入れるようになる。その際もマスク着用やソーシャルディスタンシングなどのルールはこれまでどおり適応される。
実験プログラム開始に伴い、テュービンゲンでは屋内での舞台も復活した。ホテルやスポーツ施設などはまだこれに含まれていないが、それでも市民の反応は上々のようだ。14歳以上の市民、および近郊の人々もこのシステムを利用できる。
3月15〜21日の第1週目を終えた後の報告によると、3万件弱の検査数のうち、ドイツ赤十字社ではなく民間協力会社がサポートしている3つの検査所で約30の誤診が報告されたが、これもトレーニングを徹底すれば克服できるとして、プロジェクトの続行が推奨された。
だが、続く3月末にかけて気候が良くなると、市民だけではなく、噂を聞きつけた近郊都市からも人々が押し寄せ、検査数が週に6000件も増加。9つある検査ステーションのキャパシティはそれぞれ1日9000なので対応可能範囲ではあるものの、25日〜28日には7日間発生率が35から66.7と2倍近くになってしまった。現在では110を超えている。