イタリア、ワクチン接種後の死亡めぐり検察が捜査 医師と看護師に業務上過失責任は問えるか?
欧州医薬品庁は先週、これまでの検証では血栓発生の全般的リスクの増大とアストラゼネカ製ワクチンの関連性は見られないと発表し、大半の政府は同社製ワクチンの接種を再開した。
だが反ワクチン意識が根強く残るイタリアでは、検察の動きが国民のワクチン不信をさらに高めてしまっている、医師たちは語る。英国の調査会社イプソスMORIが12月に発表した世論調査によれば、新型コロナワクチンの接種を受ける予定だと答えたイタリア人は全体の62%に留まっている。
アストラゼネカは捜査協力を表明
「こんな条件で、何百万人もの国民にワクチン接種をすることなど、どうして期待できるだろうか」。金融の中心地ミラノにあるサッコ病院で感染症部門を率いるマッシモ・ガリ氏は当惑する。「私が知っている医療関係者は、この馬鹿げた状況にひどく憤激している」
他の欧州諸国では医師・看護師がイタリアのような司法的な脅威には直面している状況はない、と115カ国の医師を代表する世界医師会(WMA)は指摘する。
WMAの評議会長を務めるフランク・モンゴメリー医師は、「欧州連合の他の加盟国では、(ワクチン接種による死亡は)過失致死とは見なされないだろう」と語る。「ワクチン接種で生じうる副反応を理由に医師が告訴されることは絶対にないはずだ」
アストラゼネカは、捜査に協力する用意があり、司法制度を信頼していると述べている。同社製ワクチンは治験において最大で79%の有効性を示しており、同社は21日、追加の治験でも安全性を懸念すべき理由は得られなかったと発表した。
法律の専門家らは、医師や政府が検察の対応に何らかの働きかけを行うことは一切できないと説明する。イタリア保健省はコメントを控えるとしている。