最新記事

アジア人差別

アトランタ銃撃、容疑者が性依存症でも動機がアジア人差別でなかったことにはならない

Atlanta Attack Exposes Dangerous Sexualization of Asian Women

2021年3月19日(金)16時33分
スー・キム

非営利組織「全米アジア太平洋系米国人女性フォーラム」の事務局長を務めるサン・ヨン・チョイモローはNBCニュースに対して、アジア系女性に対するそのような定型化されたイメージが「女性蔑視や女性嫌悪を煽っている」と指摘した。

歴史家で『The Color of Success: Asian Americans and the Origins of the Model Minority(成功の色:アジア系米国人と模範的少数派の起源)』の著者であるエレン・ウーによれば、アジア系女性についてのこうした定型化の起源は19世紀にまで遡る。

アメリカではゴールドラッシュ時代に、中国をはじめとする各国からの移民が増加。これらの中国人移民には少数の女性が含まれ、その中には売春婦もいた。

ウーによれば、当時の政治家たちはそうした女性の入国を禁止または制限しようと試みた。「売春目的で」女性を入国させることを禁じた1875年のペイジ法制定もその一環だ。

新型コロナの影響でヘイトクライムが増加

マッサージ店を狙った銃撃事件の捜査は現在も続いている。在米韓国人委員会のキムは本誌に対して、「もっと時間が経ってより多くの事実が明らかになれば、事件の原因がよりはっきりしてくるだろう」と語った。在米韓国人委員会をはじめとするアジア系米国人組織は、今後の進展に注目していくつもりだ。はっきりしているのは、今回の攻撃がアジア系米国人コミュニティーに衝撃を与え、既に大きな不安を感じているコミュニティー内の恐怖心を高めるということだ」

アメリカでは、(中国の武漢で最初に感染例が報告された)新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以降、アジア系住民に対するヘイトクライムが増えている。カリフォルニア州立大学のヘイト・過激思想研究センターによれば、アジア系住民に対するヘイトクライムは2020年、前年よりも150%近く増加した。

ジョージア州で起きた今回の銃撃事件の前日、同州議会初の東アジア系上院議員であるミシェル・アウは、州議会でアジア系米国人に対する人種差別について次のように警告を発していた。「私たちには助けが必要であり、保護が必要だということを分かって欲しい。権力の座にある人々が、私たちのためにヘイトに立ち向かってくれることが必要なのだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル、イラン核施設への限定的攻撃をなお検討=

ワールド

米最高裁、ベネズエラ移民の強制送還に一時停止を命令

ビジネス

アングル:保護政策で生産力と競争力低下、ブラジル自

ワールド

焦点:アサド氏逃亡劇の内幕、現金や機密情報を秘密裏
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はどこ? ついに首位交代!
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 7
    「2つの顔」を持つ白色矮星を新たに発見!磁場が作る…
  • 8
    300マイル走破で足がこうなる...ウルトラランナーの…
  • 9
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 10
    トランプが「核保有国」北朝鮮に超音速爆撃機B1Bを展…
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇…
  • 5
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 6
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気では…
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中