日米豪印クアッドはワクチン外交で中国に反転攻勢へ
この地域には、アメリカ抜きの貿易協定が2つ存在している。RCEP(東アジア地域包括的経済連携)とCPTPP(包括的かつ先進的TPP協定)だ。CPTPPは、トランプ前政権がTPPから離脱した後、残りの11カ国が結んだ協定である。中国は既にRCEPのメンバーで、習近平(シー・チンピン)国家主席はCPTPP加盟を目指す意向も示している。
このような状況で、バイデン政権はTPP復帰の意思を明確に示すべきだ。そうしなければ、この地域の国々は中国の圧力に押しつぶされたり、巨大な中国経済に吸い寄せられたりしかねない。
日米豪印は、共同歩調を取る国を増やす方法も考える必要がある。最も有力なのは、イギリス、フランス、カナダ、韓国と合同海上軍事演習を行うというものだろう。
しかし、バイデン政権は今回、米政府の信頼性が低下し、選択肢も限られているなかで、手持ちのカードで最大限の効果を引き出したと言える。
19世紀半ば、米海軍のペリー提督は、やがて英米、そしてもしかすると日本の海軍により太平洋の秩序が守られる時代が来ると語り、人々を驚かせた。豪印の海軍を英海軍の後継者と考えれば、この予言が当たったことになる。
しかし、いま天国のペリーは、自分の予想どおりになったことにほほ笑みつつも、中国海軍の台頭に表情を曇らせていることだろう。
4カ国首脳協議は目覚ましい成果を上げた。バイデン政権がアジアの戦略的状況をリセットすることを本気で目指すのなら、東南アジア諸国へのワクチン支援だけで満足してはならないが。
From Foreign Policy Magazine

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら