ブラジル大統領選、収賄罪が無効となったルラ氏再出馬の可能性で左右両極激突か
政治コンサルティング会社・ベクトル(ブラジリア)のディレクター、レオナルド・バレト氏は「今のボルソナロ氏が大統領として誇れる実績は乏しい。同氏が権力を維持するには、政権が何らかの成果を示す必要がある。今回は、ルラ氏が出馬するか否かよりも、そのことの方が大事だ」と述べた。
バレト氏を含む多くの専門家は、こうした事情のため、ボルソナロ氏は支持拡大を狙ってポピュリズム(大衆迎合主義)的政策を一層推進するかもしれないとみている。金融界のボルソナロ氏支持につながった経済改革の公約は、棚上げされるだろう。
政策がポピュリズム的な「ばらまき」にさらに傾くとの見通しに反応する形で、足元の通貨レアルは昨年5月に記録した過去最安値に迫る水準まで下落している。
「風見鶏」ルラ氏、今度はどう出る?
一方、ルラ氏が大統領選に出馬するとして、一体どういう政治姿勢で臨むかも謎の1つだ。彼の政治生命の長さは、いかに情勢に即した「変わり身」が巧みかの証明でもある。
2022年は果たして、1980年代に工場で労働者たちをあおり立て、ルラ氏の名前を連呼させたようなスタイルに回帰するのか。それとも2002年の選挙で大勝した後のように、トレードマークの深紅のTシャツをやめて、あつらえのスーツ姿になり、交渉による合意と国民の融和を目指す政治家を演じて、市場を落ち着かせたやり方を再び用いるのだろうか。
選挙の行方を判断するにはまだ早過ぎるが、複数の世論調査では今のところ、ルラ氏の支持率がボルソナロ氏を上回っている。
ルラ氏は昨年9月、ロイターの取材に応じた際には冗談で「エネルギーは30代、政治行動力は20代だ」と語っていた。ただ、ボルソナロ氏が最も警戒すべきは、政治に生涯を傾けてきた75歳の政治家が蓄積している豊富な経験だと言える。
インスペル・インスティテュート(サンパウロ)のカルロス・メロ教授(政治学)は「今度の選挙は18年と様相が異なる。ルラ氏の出方を見守らなければならない」と述べた。
(Anthony Boadle記者、Eduardo Simões記者)
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