ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは
新規のビットコインは、ブロックチェーン上での取引を承認する「マイナー」と呼ばれる人たちに対する報酬として市場に供給される。4年に1度、マイナーに対する報酬が半減される半減期という一大イベントがあり、段階的に新規のビットコイン供給量が少なくなる仕組みになっている。1ブロック承認するごとにもらえる報酬は50BTCから始まり、3回の半減期を経て、現在は6.25BTCとなっている。
こうしたビットコインの供給量の上限と新たな供給量の関係に注目した分析は、「ストック・フロー(S2F)」と呼ばれ、ツイッターアカウント名「PlanB」によって提唱された。
ストック・フロー率は、 ビットコインの総供給量(ストック)と新たな供給量(フロー)を基に算出される。高ければ高いほど、分析対象のコモディティの希少性が増して価値が高まることを意味する。
ストック・フロー率=ストック/フロー
例えば、ストック・フロー率が60である場合、現在見られる新規供給量のペースで総供給量に到達するために60年かかることを意味する。ストック・フロー率が高ければ高いほど希少性が高いことを意味する。
現在、コモディティの中で一番ストック・フロー率が高いのは金(63.48)だが、2020年5月の半減期後、ビットコイン(27.97→55.94に上昇)がその水準に迫っている。
2020年5月の半減期前後のビットコインおよび他の資産のストック・フロー率
ストック・フロー率にビットコイン 価格の推移を重ね合わせると、両者の動きがほぼ同じであることが分かる。
ストック・フロー率(黒線)、ビットコイン価格(色のついた上の線)
このようにストック・フローから見ると、現在のビットコインの6万ドルという価格は「正当化」されるようだ。ちなみにストック・フローによると、ビットコインの価格は2022年には10万ドルに到達する。
■実用性
金や銀、銅、原油、小麦などの商品は希少性だけでなく実用性があるからこそ本源的な価値がある。そして、ビットコインには実用性がないから本源的な価値がないという見方がある。金の熱狂的な投資家であるピーター・シフ氏は、かつて以下のようにビットコインを批判した。
「ビットコインを使っても何もすることはできない。あなたが欲しい他の何かとトレードする以外はね。だから、本質的にビットコイン自体には価値がない」
しかし、以下の3つの観点で考えるとビットコインにも実用性があると考えられる。