最新記事

ビットコイン

ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは

2021年3月17日(水)11時51分
千野剛司(クラーケン・ジャパン代表)

①銀行サービス
世界で銀行口座を開けない人々は17億人以上いると言われている。ビットコインは、インターネットへの接続さえあれば、伝統的な銀行サービスの代替としてそうした人々の役に立てる。現在の銀行サービスとは異なり、手数料は透明、取引は第3者に頼る必要がなく、24時間年中無休で取引が可能だ。また、自分の財産が予期せぬ理由で取り押さえられることはなく、個人情報が危機に晒される可能性も低い。

つまり、ビットコインとは、インターネットさえあれば世界の誰もが自分自身の銀行として利用可能で、従来の銀行とは異なり自分の財産は自分で守ることができる仕組みを提供している。

②送金
世界銀行によると、2019年に低・中所得水準の国への送金額は5510億ドルだった。送金需要は世界的にも大きいが、問題は手数料の高さ。2020年第1四半期、銀行は送金手数料として7%を徴収し、送金先がアフリカなどであったら10%を超えた。また、銀行の場合は送金手数料が高いだけでなく、送金スピードも遅い。

一方ビットコインは、ほぼ瞬時に送金が可能で手数料は遥かに安い。2020年6月26日、10億ドル分近くのビットコインが10分以内に0.48ドルの手数料で送られた。銀行のように手数料が7%かかった場合、10億ドルの送金手数料は7000万ドルに上り、着金まで1週間ほどかかっていただろう。

③支払い
インターネット誕生以降、アップルペイやペイパルなどネットを使った支払いサービスが急速に増えている。マッキンゼーによると、2023年までに支払いサービス産業の売上高は2兆7000億ドルに到達する。

しかし、既存のネット支払いサービスは、送金サービスと同じように手数料が高い。また、支払い側と受け取り側は、同じサービスを使うことが前提で、ユーザーはサービス提供者を安全面の観点で信頼しなければならない。

一方、ビットコインは人種、信条、肌の色、国籍、出身地などにもかかわらず、1つの組織や1人の人間にのみ頼ることなく世界中の誰にでも送ることができる。

※記事後半:「ビットコイン価格は、まだ割安? 将来的な価値と無形資産を探る」に続く

[筆者]
千野剛司
クラーケン・ジャパン(Kraken Japan)- 代表 慶應義塾大学卒業後、2006年東京証券取引所に入社。2008年の金融危機以降、債務不履行管理プロセスの改良プロジェクトに参画し、日本取引所グループの清算決済分野の経営企画を担当。2016年よりPwC JapanのCEO Officeにて、リーダーシップチームの戦略的な議論をサポート。2018年に暗号資産取引所「Kraken」を運営するPayward, Inc.(米国)に入社。2020年3月より現職。オックスフォード大学経営学修士(MBA)修了。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中