ビットコインに「600万円の価値」があると米大手企業が認める理由とは
ビットコイン蓄積を続ける「クジラ」
機関投資家や大手企業など大口投資家の動向は、ブロックチェーン上の取引データからも見られることができる。
仮想通貨取引所クラーケンのリサーチ機関であるクラーケン・インテリジェンスは、100BTC以上を持つアドレスを「クジラ(Whales)」と定義。クジラによるビットコインの保有数の推移を見ると、例えば2021年1月はビットコインが最大で32%も下がった荒れ相場だったにもかかわらず、クジラは怯むことなく着実に保有数を増やしていった。
100BTC以上もつアドレス(クジラ)のビットコイン保有数とビットコイン/米ドル
クジラが持つビットコインの数は、2021年1月の高値である4万1989ドルをつけた1月8日に1150万BTCだったが、3万ドル付近まで急落した1月27日に過去最高となる1156万BTCまで増えた。
また、クジラは、最近の下落時にもビットコインをさらに蓄積した。3月13日、ビットコイン価格が過去最高値となる6万2000ドル付近に近づいた時、クジラが保有するビットコインは1166万1000BTCだった。それ以降、調整がある中でもクジラはさらに2万BTCを追加した。
一方、100BTC未満を保有するアドレスは、ビットコインが1月の高値である4万1989ドルをつけた時に利益確定売りを加速させたようだ。同アドレスが持つビットコインは、1月8日から1月27日の間に3万7200BTC減って、9カ月ぶりの低水準である530万BTCを記録した。
ビットコインの本源的な価値(Intrinsic Value)
以上、ビットコインが6万ドルまで到達するまでの経緯を振り返った。では、ビットコインの価格はどのように正当化されるのだろうか?
実は、ビットコイン否定派の多くは「ビットコインには本源的な価値がない」と批判する。例えば、最近では韓国の中央銀行である韓国銀行の李柱烈(イ・ジュヨル)総裁がビットコインがなぜ高騰しているのか理解に苦しむと発言し、ビットコインに本源的な価値がないと述べた。彼らにとって、本源的な価値というのは株や債券など伝統的な資産の専売特許だというわけだ。
しかし、デジタル化が進む時代において、デジタル資産の代表格であるビットコインの価値をもう一度洗い出してみることは重要ではないだろうか? 私は、伝統的な金融資産の本源的な価値との対比の中で、ビットコインにも本源的な価値と考えられる特性が数多くあると考えている。
■希少性
ビットコインは、「デジタルゴールド」と呼ばれており、希少性が価値の源泉である金などのコモディティに近い資産と捉える声は多い。ビットコインの総供給量は2100万BTCとコードによって事前に決められている。執筆時点で1860万BTCが発行済みで2100万BTCに到達するのは2140年だ。現在は1日に約900BTCが発行されている。