最新記事

ベラルーシ

「欧州最後の独裁者」ベラルーシ大統領の豪邸告発動画で国民の怒りが爆発

Viral Video of Belarus Dictator Lukashenko's Life of Luxury Sparks Outrage

2021年3月12日(金)15時30分
ブレンダン・コール
ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(2020年7月3日)

ルカシェンコは動画公開前に「国家から何も盗んでいない」と発言して牽制した Vasily Fedosenko-REUTERS

<今週ネット上で公開された反体制派によるルカシェンコ大統領のドキュメンタリー動画を、わずか数日間で400万人以上が視聴した>

ベラルーシで長期政権を続けるアレクサンドル・ルカシェンコ大統領の浪費生活を告発するドキュメンタリーが今週8日にネット上で公開され、数日間で420万回以上視聴された。国民の間には、大統領の不正蓄財への怒りが巻き起こっている。

『Lukashenko. Goldmine(ルカシェンコ、金鉱)』というタイトルのこの調査報道ドキュメンタリーは、ポーランドに拠点を置くベラルーシ反体制派のニュースメディアNEXTAが制作した。ルカシェンコが数億ドルを浪費して贅沢な装飾を施した豪邸、専用機、専用車で生活していると告発した。

NEXTAの創設者スチアパン・プチラは、首都ミンスクにあるルカシェンコの「独立宮殿」には2億5000万ドルが投じられ、その他にもルカシェンコが国内17カ所に邸宅を所有していると語っている。

マイバッハやロールスロイスなど、総額で475万ドル相当の高級車も動画に登場する。公式の所有者は別の名前になっているが、これらも全て大統領が所有すると見られている。

政権内部の元職員など匿名の情報源の証言に基づいて、NEXTAは大統領の不正蓄財を証明する書類も入手したという。

この動画をきっかけに、ベラルーシ国内でルカシェンコへの抗議がさらに高まる予想もある。

「これらは全て国民のもの」

「ヨーロッパ最後の独裁者」とも呼ばれるルカシェンコは、昨年8月の大統領選で勝利を宣言したが、アメリカやEUをはじめとする国際社会は選挙に不正があったと非難している。

選挙結果に反発する人々が大規模な抗議デモを繰り広げると、当局はこれを厳しく弾圧した。ジャーナリスト数十人を含む数千人の人々が当局に拘束された。

多くのデモ参加者や反体制派が収監された一方、大統領選挙の勝者と推定される対立候補のスベトラーナ・チハノフスカヤは隣国リトアニアに逃れた。今週リトアニアは、ベラルーシからのチハノスフカヤの身柄引渡しの要求を拒否している。

「多くのベラルーシ人にとって、このドキュメンタリーは衝撃的だった」と、チハノフスカヤの上級顧問フラナク・ビアチョルカは本誌の取材に語った。「ルカシェンコが建築した全ての宮殿や居城は、独裁博物館や子どものための公園、病院などに変えなければならない。これらは全て国民のものだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザはパレスチナ人と支援者の「集団墓地」化=国境な

ビジネス

ニデック、差し止め求め仮処分申し立て 牧野フのTO

ビジネス

英CPI、3月は前年比+2.6%に鈍化 今後インフ

ワールド

米政府、ウクライナ支援の見積もり大幅減額─関係者=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 5
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 7
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 10
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中