最新記事

米中関係

米空母の南シナ海派遣はバイデン政権の「不安の表れ」──中国専門家

U.S. Military Near China a Sign of Joe Biden's 'Insecurity'—Chinese Analyst

2021年3月5日(金)16時44分
ジョン・フェン

胡は、アメリカが力を誇示する上で鍵を握るのが11隻の空母であり、今のところこれと肩を並べるレベルの空母を保有している国はほかにないと説明。だが米政府がこれらの空母を酷使していることが今後の「不安材料」になるだろうと指摘した。

彼は2020年11月に米海軍協会が行った分析を引用し、米軍の空母が2020年1月から10月31日までの間に海上で過ごした日数は、延べ855日にのぼると述べた。2019年の1年間の延べ日数よりも258日多い。

現在の傾向が続けば、米軍による南シナ海への空母派遣は「大幅に増えて、年に数十回に及ぶ可能性がある」と胡は予想する。「中国と中国軍は今後、西太平洋で日常的に、アメリカの2つの空母打撃群に対処する備えをしなければならないかもしれない」と胡は書き、グアムにある米軍基地は、アメリカが力を誇示する上での「戦略的な支点」だと分析した。

また中国政府は今後、南シナ海に頻繁に艦船が配備される事態への対抗策を練る必要があるだろうと結論づけた。

米政府「中国は今世紀最大の地政学上の課題」

3月3日には、中国海軍の退役将校で軍事評論家のSong Xiaojunが中国中央電視台(CCTV)の番組「ディフェンス・レビュー」の中で、アメリカが南シナ海と台湾海峡に艦船を派遣しているのは「『中国脅威論』を増幅」させて「同盟諸国を味方に引き入れる」ためだと述べた。

中国との「長期にわたる戦略的な戦争」に備えるにあたり、バイデン米大統領は数カ月をかけて、中国のどの脅威に優先的に対処するかを決断する必要があるだろうと彼は同番組の中で分析した。

この番組が放送された数時間後、アントニー・ブリンケン米国務長官はバイデン政権の外交政策について演説を行い、中国をアメリカにとって「今世紀最大の地政学上の課題」と称した。

ホワイトハウスは3日、外交・軍事政策の指針となる23ページの暫定版国家安全保障戦略ガイドラインを発表。この中で中国について、「安定的で開かれた国際システムに持続的な挑戦をする経済力、外交力、軍事力と技術力を備えている可能性のある唯一の競合国」と言及した。

20250225issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 6
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 7
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 10
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    墜落して爆発、巨大な炎と黒煙が立ち上る衝撃シーン.…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中